タークス ストライクス バック(1)


投稿者 あぐり 日時 1997 年 9 月 08 日 01:59:07:

 勝ちましたね(←以下、略!)。でもまだ試合は残ってる。そわそわそわそわそわそわ×10,000。
 ちょっとお休みして充電しようかと思ってたらば、いかそーめん様の小説がアップされてて、思わずまた妄想が走り出してしまいました。あたし、病院行ったほうがいいかも・・・。
 リクエストがあった(?)タークスネタです。時間的には・・・えーと、ヴィンがコレルへ旅立った何日か後。ただし、一体どういうことになるのか、まだ私にもわかりません・・・。とりあえずアップしてみて、皆様の反応やリクエストを見ながらふくらませていく、という感じでやってます。
 ユフィ、また出てきます。なんか彼女のこと気に入ってしまったらしい「あ」です。



 ユフィはうきうきした気分で部屋に戻ってきた。今日彼女は、生まれて初めて男の人とデートしてしまったのだ!・・・しかも相手は二人!
 ・・・と言っても真相は、コレルでの仕事を終えてヴィンセントがミッドガルに戻ってきたもので、シドがついでにユフィも食事に誘ってくれたというだけのことなのであるが。
 久しぶりにおしゃれして、若い娘の好きそうなしゃれたレストランで(シドは居心地悪そうだったが)食事して・・・帰りがけ、ユフィが覗いていたショーウィンドウを見て、ヴィンセントがプレゼントまで買ってくれたのであった。
 ユフィはそうっとバッグから、可愛い包装紙につつまれた箱を取り出した。素朴なデザインの、木のオルゴールだった。
「うふっ☆」
 ネジをきりきり巻いて蓋を開けると、軽く愛らしい音色が流れ出した。
 ドーレミシーラー・・・ドレミソファドレドー・・・
 窓際に置いたオルゴールを夢見る瞳で見つめながら、今ごろ二人は何してるのかな・・・とちょっといけない妄想をしてしまうユフィであった。


「ふう。どうもああいうシャレたとこは苦手だぜ」
 シドはシャツの襟をゆるめた。ヴィンセントはかすかにほほ笑みながら、そんなシドをじっと見つめていた。
「ユフィなんか誘うんじゃなかった。娘っ子の趣味ってなあ、どうもいけねぇや。俺としては、かめ道楽で十分なのによぅ」
 口では悪態をつきまくるが、口ほどの悪気はないことは、ヴィンセントは先刻承知であった。
 神羅の新社長リーブから与えられた、当座の住まいとしてのヴィンセントのアパートである。ユフィを送ってから、「ちょっと飲み直さないか・・・」というヴィンセントの誘いで、二人はシケ込ん・・・もとい、ここへやって来た。
 ヴィンセントはウイスキーをグラスに注いでシドに手渡した。
「何にせよ、仕事、うまく行ってよかったな、タークスリーダーさんよ」
「うまく行ったと言っても、バレットもいろいろ事情があってな、すぐには来られないのだが」
「それにしても、約束してくれたんだろ、いつかは来るって」
「部下たちのおかげだ」
「・・・部下たち、なあ」
 あのひと癖もふた癖もありそうな連中を、よくもうまいこと束ねたもんだ・・・ちょっと複雑なきもちのシドであった。
「今夜は、泊まっていくんだろう」
 突然話を振られて、シドは、「ぶっ」とウイスキーを吹き出した。
「・・・だいじょうぶか、シド」
「いや、いいんだけど・・・オマエ、変わったなあ」
「そうかな」
「強くなったというか、ずうずうしくなったと言うか」
「そうだとしたら、それはあんたのおかげだな」
「・・・」
 ヴィンセントは、ガーネットの瞳でシドをひたと見た。誘うような視線に、シドは緊張してしまう。
「・・・泊まって行くのは、いやか・・・?」


 酒を飲んでいたのは、ヴィンセントとシドだけではない。タークスの3人、レノ、ルード、そして新人イリーナも、いつものバーで酒を飲んでいた。
「・・・ヴィンセントさんって、すっごく素敵☆☆☆ですよねえ」
 イリーナは星の瞳になって呟いた。・・・こないだまで「ツォンさんって、すっごく素敵☆☆☆ですよねえ」と言ってたのは誰だ、と言いたくなったが、レノもルードも黙っていた。
 イリーナもルード同様、長い黒髪にはヨワいらしい。
「けどな、ヤツは飛空艇のおとっつぁんのコレだぞ、と」
「・・・えっ」
 イリーナは息をのみ、それから、ふーっとため息をついた。
「そうなんだ・・・がーーーん」
「イイ男はすぐに売れるんだな、と」
「艇長もイイ男ですもんねえ、かなり」
「だな・・・バックはかなり好みかな、と」
 レノは、シドに手を出してヴィンセントに死ぬほどぶちのめされたことを思い出して、顔をしかめた。・・・もうちょっとだったのに・・・。しかし予想以上にいい味だったんだな、と・・・。
 ルードも、ヴィンセントとあわや・・・というところまで行った時のことを思い出して、せつない息をついた。
 二人とも、今さらヴィンセントに逆らうつもりはない。ヴィンセント・・・怖い。
 忘れていたが、彼は怒らすと変身してしまうのだ。そして今のヴィンセントを怒らせるには、
 1,ヴィンセントを押し倒す。
 2,シドをコマす。
 この二つしかないのである。どっちもやろうとして、どっちもスベった二人は、その恐ろしさをいやと言うほど味わっていた。
 かつてツォンには、その静かな迫力と、怒らせると実は怖いという2点でひそかに心服していた(表には出さないが)彼らだが、ヴィンセントにもまさに同じ理由で従う気になっていた。してみるとリーブの人選はまさに当たっていたということになる。
 ツォンにも死ぬほど欲情しながら、実は一度も手を出せなかった、出そうという気も起きなかった、根は純情なレノとルードであった。
「・・・待てよ、と」
 レノはイリーナのシャツを盛り上げている胸を見つめながら言った。
「何ですか、そのえっちな視線・・・」
 冷たい目でイリーナが言う。
「・・・俺やルードが手出したからぶちのめされたんだな、と・・・そんならいっそ」
「お、おい、レノ」
「イリーナがちょっかい出したとしたら・・・どうなると思う?」
「・・・懲りてないのか、レノ」
「勘違いするなよ、と。俺はただ見てみたいだけなんだな、と。ヴィンセント・・・女をぶちのめしたりするかな、と・・・」
「何考えてるんですかあ」
 イリーナは顔をしかめて、レノをひじ打ちした。レノは「ぶっ」と飲みかけのオンザロックをはき出してしまった。
「あたし、やりませんよ。そんな没義道な」
「タークスに(そしてやの字に)“没義道”なんてコトバはないんだぞ、と」
「・・・知りませんよ、怒られますよ、ヴィンセントさんに。社長が言ってたじゃないですか、タークスもイメージチェンジするんやーって」
「・・・・」
 考え込んでしまうタークス3人衆であった・・・。


 ・・・シドはやがて正体もなく酔っ払って、ソファに横になって寝入ってしまった。ヴィンセントはため息をつきながら、毛布を持ってきて、シドの肩からかけてやった。
 そのまま、そばに座り込んで、じっと寝顔を眺め下ろした。
 無防備な寝顔だ。誰にでも心をさらけ出し、とりこにしてしまうシド・・・。呼吸が細くなるほど愛しい。
 やがてヴィンセントも、服を着たまま・・・、シドのそばで、静かな、安心しきった寝息をたて始めた・・・。


 ユフィも眠っていた。可愛らしい唇から寝言を漏らしながら・・・。
「んー・・・シド、ヴィンセント・・・素敵だよっ☆・・・ぐー」

 
 ・・・ふと、のどがかわいて目を覚ますと、毛布がかけられていた。
「ヴィンセント、オマエが・・・」
 そのヴィンセントは、ソファに腰を下ろしたまま、すやすやと眠っている。・・・女性にしてもおかしくないくらいきれいな顔なのに・・・こんなにスマートなのに、シドにとっては誰よりも“男”なヴィンセントであった。
 シドは毛布をヴィンセントにかけてやると、立ち上がった。
「・・・ふう、飲み過ぎちまった」
 キッチンに立って、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、口をつけて飲もうとして、ちょっと考えてからコップに注いで飲んだ。いちおう、人の部屋のものであるからして、遠慮したのである。
 ・・・いきなり背後から抱きしめられたのは、その時である。
「うわっと」
 ヴィンセントの髪の匂いがした。
「な、何だよ、足音もたてねえで・・・」
「会いたかった。シド」
 ヴィンセントの鼓動が伝わってきた。シドの鼓動も急に早くなった。
「あんたのこの首筋、この鎖骨・・・それからこのハガネのようなからだ・・・針金みたいな脚・・・」
「お、おい・・・あっ!」
 いきなり愛撫されて、シドの呼吸が早まった。
「あっ、ヴィンセント・・・何だってんだよう、いきなり・・・、よせよ」
「それから・・・このくちびる」
 シドは目を閉じた。またあのヴィンセントの低いしめった声が、耳からシドを犯す・・・。
「はぁ・・・あ」
「さあ、言ってごらん・・・わたしに会いたかった、抱かれたかったと」
「て、てやんでえ・・・」
「相変わらず意地っ張りだ。・・・何、すぐに陥落させてやるさ・・・」


 キッチンの床は冷たかった。シドの熱いあえぎだけが、その場の空気を震わせ続けていたが・・・。


「・・・聞こえるか?レノ」
 深夜のタークス本部で・・・。
 3人のタークスが、何やらごそごそやっている。
 耳にヘッドホンを当てたレノは、ひゅ〜っと口笛を吹いた。
「ビンゴ!始まってる始まってる、と」
 イリーナがごくりと生唾をのみこんで、
「・・・しかしよくやりますね、先輩たちも。盗聴だなんて、悪趣味〜」
「うるさいぞ、と。文句言うと聞かせないからな、と」
「ああん、嘘です嘘です。聞きたぁい☆」
「どうだ?」
 真剣な顔をしてのぞき込む二人に、レノはにやりとして、
「おとっつぁん、いい声だな、と・・・」
 と、音をマイクに切り替えた。ヴィンセントのささやき、シドの押し殺したようなあえぎ声・・・が、部屋中に響き渡った。 
 イリーナが真っ赤になった。ルードは顔を上げて、
「・・・確かにな。かなりそそるものが・・・あるな。リーダーのほうが視覚的にはおいしそうだが」
「やっちまうか?」
「しかし、リーダーに知れたら・・・」
「確かにな・・・。しかしあきらめるのはちょっと惜しいんだな、と・・・。今度はリーダーに絶対バレないようにして、やっちまうか?・・・と」




 おお、なかなか好スタート。まるで日本代表みたい☆(←結局ソレかい!) でも後半の3失点が気になる・・・じゃなく、タークスの動向が気になる。
 タークス、暴走すると鬼畜になりそうだから・・・(苦笑)。しかも今回はイリーナも協力(←レッドカード!)
 ユフィちゃんもどうからむのか・・・。
 またもやみなさんの感想&リクエストをお待ち致します。
 こんなもんでも、読んでくだすった貴女には感謝のチュッ☆


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