ラム×アグリです


投稿者 浅木かいと 日時 1997 年 9 月 02 日 00:09:12:

 12時を過ぎました。。誕生日おめでとう自分(笑)
 昔書いたやつに修正入れたら何がなにやらわかんなくなりました(死)
 むやみに修正入れる物じゃないですね。
 あ、あんまりいないとはおもうけど万一ガフガリオン好きな方がいたらさようなら・・・。かなりあいつ悪者モード入れちゃいました(爆死)



 何時から、泣くことを忘れたのだろう。
 いえ、怖かっただけかもしれない。
 流してしまえば、自分をさらけ出してしまうから。
 弱さがおもてにででしまうから。 

 名門騎士の血筋に生まれた以上、たとえ女であろうともその根を絶やすことは出来ない。それはきっと天命なのだ。父親からは幼い頃から剣術の手ほどきを受け、半ば強制的に王家騎士団に入れられた。それに対して母親は、自分に出来る精一杯の愛情でアグリアスを包み込み、騎士などとは関係のない、普通の女として育てようとした。誇り高い騎士としての父親の教育。暖かく優しい女になるための母親の愛情。相反している二つの自分が中途半端に混ざり合う自分をアグリアスは、おそらくこの上ないほどに嫌っていた。どちらにもなりきれず、だけどどちらも捨てられない。
 騎士として、誰よりも尊敬している父。1人の女として、誰よりも大好きな母親。
2人が精一杯自分に注いでくれた思いを捨てられるはずもない。だけど、中途半端な自分は嫌いだ。その狭間で、アグリアスはいつも揺れ動いていた。
 そして父も母も他界し、本当に、どちらでいて良いか判らなくなった。
 2人の葬儀に流した涙が、最後だった。


 とある小高い丘の上。小鳥のさえずりと木々の揺れる音が辺りに澄んで響き、春の風が優しく吹いて鮮やかな緑の草むらに軌跡をえがいて去っていく。丘の上で一番大きな木の、葉の間から入る暖かい木漏れ日を身体に受け、幹に背を預けてアグリアスは座っていた。今は早朝だ。普段なら宿にいて旅支度をしている頃だが、今日は特別、休みの日だ。朝早く誰かがいなくなっていても、皆は眠っていて気づかないだろう。
  アグリアスも、連日の戦いで疲れていた。多分、普通ならあと小1時間は眠っているかもしれない。だがしかし今朝は特別、早くに目が覚めていた。目覚めは決して不快なものではなく、ふと思い立ってやってきたこの丘の心地よさは逆に、来て良かったと彼女に思わせた。木の幹に身体を預け、アグリアスはただ、葉の間から見え隠れする青い空を見据えていた。
 何故ここに来てしまったかは自分自身でも判らなかった。ただ、何となくここが、かつての家の庭に似ていて、懐かしさで来てしまったのだろう。
 ・・・と。ふと後ろでカサッ、と草を踏む音がした。反射的に剣をにぎり振り返ったアグリアスの前に立ったのは、オヴェリア王女護衛の任を受けた北天騎士団の傭兵、ガフガリオンの姿があった。意外な人物だったことにアグリアスは、綺麗な眉をひそめた。この男には余りよい感情を持っていなかったが、今は一応、仲間ということになっている故、剣から手をはずした。
「何か用か?」
「ちょっくら聞きたいことがあってな・・・。」
「一体何の話だ?お前に聞かれるようなことは何もないはずだが。」 
 この男と話すことなど何もない。ため息と共に言葉をもらしたアグリアスを冷ややかな、しかし不敵な光を携えた瞳で見据えて、ガフガリオンは口を開いた。
「あンた、姓はオークス、だったな?」
 単純と言えば単純過ぎる問いに彼女はあきれかえりながらも、それでも一応、
「・・・そうだが。まさかそんなことを聞きに来たのではあるまい?」
「もちろん違うさ。・・・ま、今聞いたことも関係あるンだけどな・・・」
 ざあっ、と強く風が吹いた。アグリアスの緩く縛っていた髪がほどけ、風に泳ぐ。散った木の葉が頬をかすめ、少し痛みを感じさせた。
「何が関係あると言うんだ?」
 ガフガリオンは不敵な笑みを口の端に浮かべると、アグリアスに背を向けて言った。
「オークス家・・・あんた、あの元貴族のお嬢さんだったのか。」
「!!」
 途端、さっきよりさらに強い風が辺りを通り抜ける。そこにある全ての物を揺らし、木々の葉を散らし、長く生えた草をなびかせ大きな円を描く。ともすればとばされそうになる突風の中、しかしアグリアスはただ、立ちつくしていた。

 彼女の家は、名門の貴族だった。
 オークス家。代々、優秀な騎士や軍師を生み出した貴族。アグリアスはまだ知らないが、ラムザの家であるあのベオルブ家と同等の地位であった武門。
 かつて、激しい戦争の地を障害になる者など何もないかのように駆け抜け、数々の戦績を上げた聖騎士。アグリアスの尊敬し、誇りだった父親。その父親が主君を裏切り、そしてその後自ら命を絶ったのは、アグリアスが16歳の時だった。
 どういうわけで父がそんなことをしたのかは判らない。しかしその事が引き金となり、国を追われ、貴族の地位さえも奪われた。

「どうしてそれを・・・」
 呆然として問うアグリアスに含み笑いを向けながらガフガリオンは言う。
「いーや。ただちょっと確かめてみたかっただけさ。俺の見聞は大したモンだろ。しかしまあ、そんなご身分でよく聖騎士なンてもンになれたな。アグリアスさんよ。親は堕落した騎士だっつーのにな」
「言うな!」
 思わず声を荒げ、両手で耳を塞ぎ強い口調で叫んだ。
「・・・父を侮辱することは許さない!」
 ガフガリオンは黙って去っていった。
 風はいつの間にか止み、暖かな日差しがまた降り注いでいる。アグリアスは駆け出した。あてはない。ただ、この場から逃げたかった。長い草に絡まれる足をはやらせ、まっすぐに走っていった。宿を取った街に入り、裏道を駆け抜けていく。しかし道を半分ほど行ったところで、聞き覚えのある声に腕を捕まれた。
「アグリアスさん!」
「!!」
 買い物の帰りなのだろうか。大きな袋を抱えたラムザが、片手でアグリアスの腕をつかんでいた。心配げな彼の表情に引きつけられ、アグリアスは突然、ラムザの胸に飛び込んだ。暖かい胸に顔を埋め、脳裏からさっきの言葉を消し去ろうとする。
 そんな彼女を見て、ラムザは驚きながらもゆっくりと、アグリアスの身体を抱いた。
 何があったかと、問うのははばかられた。
 来ているシャツの胸の辺りに冷たい感触が少しづつゆっくりと広がっていく。
 抱いた肩が小さくふるえていた。
 ラムザの胸の中でアグリアスは、涙を流しているのだ。
 長い間ずっとこらえて、飲み込んできた涙。ひとたび流してしまえば自分は必ず崩れ去る。そう思って、何があっても絶対に涙は流さなかった。
 しかし今は、その意思を保てるだけの誇りが、彼女にはなかった。
 「聖騎士」という称号も、騎士団を離れている今はただの飾り言葉。唯一今まで聖騎士としての誇りを持てたのは王女オヴェリアを守り、支えるというなすべき事があったから。
 本当の妹のように想い、自分を姉のようにしたってくれたその王女も、今はいない。悲嘆と不安に心が埋め尽くされ、自分が消えかけている。
 普段なら、あんな事を言われても平気なはずだった。何度も何度も、陰で言われ続けた事だったから。だけどこんなに深く刺さるなんて。
 止めようとすればするほどあふれ出す涙に、アグリアスは自分の心も体もすべて冷え切ったように感じ、ぬくもりを求めてラムザの胸に、さらに寄り添った。
「中途半端なんだ・・・騎士にも女にもなりきれずに・・・どちらでいたらいいのかもわからない・・・。時々、何にも耐えられないほど自分が小さくなるのが・・・怖い・・・。」
 涙で濡れきった頬にラムザの手が触れる。思わず顔を上げるとラムザが泣きそうな表情で自分を見つめていた。指で涙をぬぐい、頬に優しく口づけた。
 驚いたような顔をするアグリアスに優しい笑みを向けて、ラムザは何も言わず、彼女をきつく抱きしめた。
 何も問わず、ただ自分を受け入れてくれる彼の優しさが嬉しくて。
 アグリアスは今一時、全てを忘れてその優しさに身をゆだねた。



展開おきまりすぎ(汗)そしてお得意の過去捏造たんまりと。もう自分がいや・・・。
これ読んでたら判ると思いますけど・・・。
わたし、ネタつきました(笑)
誰か原案下さい・・・(こら)
まだ書きたいのっっっ。

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