黒ヤギさんからお手紙ついた♪


投稿者 しほ 日時 1997 年 9 月 01 日 18:40:42:

突然ですが、世界迷作劇場!


 ある村に、それはそれは可愛らしい仔ヤギが住んでいました。金色に光る毛並み、青く澄んだ宝石のような瞳。彼の名は、クラウドといいました。
 クラウドは、今日も村を見渡す丘の上でひなたぼっこをしています。彼のまわりには、彼に思いを寄せながら、手を出せずにいる野郎どもでいっぱいでしたが、クラウドはそんなことには露ほども気づかず、無防備にのんびりと体を横たえるのでした。
「おーい、クラウド」
 そんな彼に、声をかけた黒ヤギがいます。それは、彼の兄貴分のザックスでした。
「ちょっと使いを頼むよ。俺、今忙しくてさぁ」
 ザックスは、村の警備に大忙しです。頼りがいがあって優しくて、クラウドは彼のことが大好きでした。
 使いというのは、なんとクラウドのあこがれの白ヤギ、セフィロスに手紙を届けることでした。セフィロスの名前を聞いただけで、クラウドは緊張してしまいました。何しろ、彼は伝説の英雄ヤギ(笑)なのです。ザックスよりも強く、たくましいセフィロス。でもクラウドは、その姿を見たことがありません。そんなセフィロスが、なぜザックスと友達なのか、不思議でもありました。
 ザックスから手紙を受け取ったクラウドは、意気揚々とセフィロスのもとへ向かいました。大事な仕事の手紙を、落としたら大変。クラウドは、しっかりと手紙を握りしめ、セフィロスの家のドアを叩きました。
「誰だ?」
 低い声がして、ドアが開きます。クラウドはますます緊張し、固くなってしまいました。
「これ…預かった手紙です」
「ほう、お使いか。偉いな」
 クラウドは天にも昇る気持ちでした。あのセフィロスに褒められたのです。満面に笑みをうかべ、彼はセフィロスにザックスの手紙を差し出しました。
 が、次の瞬間、クラウドは青ざめました。なんとセフィロスは、黒ヤギザックスからの手紙を、むしゃむしゃと食べてしまったのです(うひー)。
「偉い子には、ご褒美をあげよう」
 言うなり、セフィロスは、ショックで口もきけないクラウドをひょいと抱き上げると、ベッドに放り投げました。
「あ、あの、セフィロスさん…あ、あぁ…っ」
 手紙と一緒に、クラウドはしっかりとセフィロスに食べられてしまいました。

「あまり遅いから心配したんだぞ。セフィロスにはちゃんと手紙を渡したか?」
 にっこり笑ってザックスが聞いてきます。彼は仕事が一段落したらしく、家に帰ってクラウドを待っていました。
 クラウドはおずおずとセフィロスからの手紙を彼に差し出しました。
「お、ちゃんと返事を受け取ってきたんだな。偉い偉い」
 ザックスに褒められても、クラウドの心は晴れません。やっぱり本当の事を言った方がいいのでは−−−そう思い、彼は思いきってザックスに真相を告げました。
 が、ザックスはあまり驚きませんでした。それどころか、こんな風に聞いてきたのです。
「食べられたのは、手紙だけか?」
「え?」
 聞き返す間もなく、クラウドはザックスに押し倒されていました。
「ザックス、ちょっと…あ、ああん…」
 そしてクラウドは、黒ヤギザックスにもおいしくいただかれてしまいました。

 その後、何度も白ヤギと黒ヤギは手紙をやりとりしましたが、その内容が相手に伝わることはありませんでした。クラウドが持っていく手紙はすべて相手の胃袋に収まり、なおかつ手紙配達人クラウドも、その度に食べられてしまうのです。 そのうちに、黒ヤギも白ヤギも、手紙の内容などどーでもよくなってしまいました。そして律儀な仔ヤギクラウドは、先に手を出しておけば良かったと歯がみする野郎どもを後目に、今日もせっせと手紙を運ぶのでした。

ちゃんちゃん♪


知ってる人は知っている、黒マテメールでございました。ははは。
このクラウド、好き者って言われちゃった…でもその通りだ(笑)。
くだらないものですみません……


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