クラエアまた書いちゃいました。


投稿者 チープサイド 日時 1997 年 9 月 01 日 14:32:50:

これ、最初はみんな登場させるつもりだったんですけど、いつの間にかクラウドとエアリスだけになってしまった…
クラエアです。
読んでいただければ光栄です。


「わあっ!きれい!!」
エアリスがはしゃいだ声を上げる。カームの街を出て、グラスランドエリアに入ってから、エアリスはずっと子供のようにはしゃいで、駆け回っている。
クラウドは最初、過去のいやな思い出を話して、暗くなっている雰囲気を吹き飛ばそうとエアリスがはしゃいでいるのかと思ったが、どうやらそれは違うようだ。
「こんなにお花、咲いてる!!」
緑の草原に、ところどころに固まって花が咲いているのを見て、エアリスはとてもうれしそうな声を上げる。
「ねえ、このお花、だれも世話してないんでしょう?」
エアリスのそばに来たクラウドに、彼女は眼を輝かせて聞く。
「ああ、そうだ。」
クラウドがそう返事をすると、エアリスはますますうれしそうな顔をする。
「すごい!ミッドガルと全然違う!!あそこじゃ、自然にお花、咲かないのに!!」
笑顔で、たくさんの花を見回す。花の匂いを嗅いだりして、辺りをうれしそうに飛び回っている。
「エアリス!あんまり遠くへ行くとモンスターが出てくるぞ!」
クラウドが、随分先に行ってしまったエアリスを走って追いかけながら叫ぶ。
すごいはしゃぎようだな、とクラウドは思った。
花畑の真ん中に、エアリスが座って山の方を眺めている。その横に、やっと追いついたクラウドが座る。
「私、こんなきれいな景色見たの、初めて。」
「そういえば、エアリスはミッドガル育ちだったな…。」
「うん、一度も外に出たこと、なかった。こーんなに青い空があること、本でしか知らなかったの。いつか、外に出てみたいなって、ずうっと思ってた。」
ゆっくりと回りを眺めながら、エアリスが言う。とってもうれしそうなエアリスの笑顔を見て、クラウドは自分もうれしくなってくる。
「もうこれからは、いつでもこの景色が見れるよ。そうだ、あしたはチョコボに乗ろう。この草原は、チョコボがたくさんいるんだ。チョコボの牧場もある。」
そう言うと、エアリスが眼を輝かせながらクラウドの顔を見る。
「ほんと?やったあ!私、チョコボに乗ってみたかったの!ミッドガルのチョコボ馬車って、お金持ちくらいしか、乗れないんだもん!」
「そんなに喜んでくれると、俺もうれしいよ、エアリス。」
ほほ笑んでエアリスの顔を見る。子供のように汚れなく無邪気で、透き通ったエアリスの碧の瞳は、この緑の草原にとてもよく似合うな、とクラウドは思った。
「あっ!あそこに飛んでるのって、ちょうちょ?」
少し離れたところの花の上を、ひらひらと舞う蝶を見つけて、エアリスは立ち上がって近づいてみる。
「へえー、初めてみるなあ…。」
蝶が舞う花のそばにかがんで、蝶の様子をじっと様子を見ている。クラウドもそっとエアリスの後ろに行った。それに気づいたエアリスが、クラウドの顔を見て言う。
「ミッドガルには、一匹もちょうちょ、いなかった。こういうのが、本当の姿なんだね。」
ああ、そうだね、とクラウドはうなずく。笑顔のエアリスにつられて、自分も笑顔になっていることに気が付いた。

「ねえ、そろそろお昼にしようよ。私、おなかすいちゃった。」
エアリスがにこにこしながらクラウドに言う。午前中は、ずっと草原を歩き回っていたので、二人とも空腹になっていた。
「よし、じゃあ、あの少し丘になっているところで食べよう。」
少し地面が盛り上がっているところをさして、クラウドが駆け出す。待ってようと、エアリスも追いかける。
二人は、少し小高くなっているところに腰掛けた。回りには花がたくさん咲いていて、きれいな場所だ。
二人は向き合って座り、クラウドが弁当を広げる。いっただっきま〜す、とエアリスが手を伸ばす。

「きれいな空だね〜。」
緑の草原に仰向けに寝そべって、頭の後ろに両手を組んで、青空を見ながらエアリスが言う。
「ああ、俺も久しぶりに見たよ。こんないい天気の空は。」
クラウドもエアリスト同じように、青空を見上げている。食後の、とてもゆったりと落ち着いた時間だ。こうやって草原に寝転ぶのは、とても気持ちいい。
「私ね、ずっと昔に、空を見たような気がするの。」
エアリスがゆっくりと話す。
「空が灰色っぽくて、雪かなあ…白いふわっとしたものが、降っている空。よく、覚えていないんだけどね。誰かに、運ばれていたような気もするなあ…。」
「いつのころか、覚えてないかい?」
「ううん、全然。そのとき、赤ちゃんだった様な気もするの。何か、ひどく怖かったような…。ホントに、かすかにしか覚えてないけどね。」
「ふーん……。」
エアリスは考え込むような顔をしている。少しの間、沈黙があった。
「んー、気持ちいい風ー!」
そよそよと、気持ちのいい風が吹いて来た。エアリスは寝転んだまま、うーんと背伸びをする。
「いいなあ、外の世界って。私、ミッドガルより、ここのほうが好き。」
上半身を起こしながら、エアリスが言う。
「俺もだ。ミッドガルなんかよりもな。」
クラウドも体を起こす。
「エアリス、そろそろ野宿の準備を始めよう。ミッドガルと違って、夜になると本当に真っ暗だからな。」
「うん、そうしよ。」

「火って、きれいだね…。」
向かい合うように座る二人の真ん中に、ぱちぱちと音を立てて燃えているたき火が、二人の顔を赤く照らし出す。
「ああ、俺の故郷を燃やした炎とは大違いだ。」
クラウドがうなずく。
「こういう火、見てると、心が安らぐ気がするね…。」
エアリスが、ひざを抱えてうつむきかげんに炎を見ながら、かすかにほほ笑んでいる。昼間見た無邪気なエアリスとは別の、母親のようなゆったりとした優しいほほ笑みだ。
思わずクラウドは、エアリスの顔にじっと見とれてしまっていた。
エアリスがうつむいたまま黙り込んだかと思ったら、もう寝てしまっていた。すうすうと、かすかな寝息が聞こえる。
「昼間はあんなにはしゃいでたもんな…。」
クラウドはつぶやいて、音を立てないようにエアリスに近付くと、そっと毛布をかけてやった。
「ん…。」
エアリスがそれに気づき、顔を上げてクラウドを見る。
「ごめん、起こすつもりじゃなかった。」
クラウドが謝る。
「ん…いいの。それより、クラウド……私の隣に来て…。」
エアリスが碧の目をクラウドに向ける。
「分かった。君のとなりにいるよ。」
クラウドがエアリスの右に寄り添って座る。
自分の毛布を引き寄せて被ると、エアリスはクラウドの右肩に、寄りかかるようにして目を閉じた。
すぐにエアリスの静かな寝息が聞こえてくる。
「お休み、エアリス。」
左手で、エアリスの肩を抱えるようにして抱くと、クラウドも目を閉じた。
たき火の炎がゆらゆら揺れている。それに照らされた寄り添う二人の陰も、炎と一緒にゆらゆらと揺れていた。


なんか二人でピクニックにでも行ったみたいじゃないか!
ほんとはカームの町でクラウドの過去の後、グラスランドエリアを移動中ということなんだけど…
クラウド・エアリスの組み合わせとナナキ・ティファ・バレットの組み合わせで移動中…なんて無理か。
なに考えてるんだろ?私は…


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