「ノートルダムの鐘」


投稿者 あぐり 日時 1997 年 8 月 30 日 22:55:29:

 さてさて・・・また始めさせて頂きます、くさった気分転換シリーズ。
 今度の元ネタは、ディズニーの「ノートルダムの鐘」。うまく話がまとまってくれるといいなあ・・・(注・クラウド至上のかたは読んではいけません!)


 フランスはパリ、ゴシックロマンの時代。
 最高判事ルーファウス閣下は、自由の民ジプシーを弾圧し、逮捕していました。そんなある日彼が拾ったのは、ひとりのジプシーの赤子。
 その子を養うことになったルーファウスは、「クラウド」と名づけ、ノートルダム寺院の鐘楼から一歩も出さずに閉じ込めて育てることにします。
 それから20年・・・。

 
 美しい青年に成長したクラウドは、でも、不幸でした。
 クラウドを誰にも渡したくなかったルーファウスは、彼にこう言い聞かせて育てたのです。
「お前は誰よりも醜い。お前は怪物だ・・・。外に出ればたちまち殺されてしまう・・・。お前を守ってやれるのは、私だけなんだよ・・・」
 クラウドはその言葉を信じ、外界にあこがれながらも、恐れを棄てきることができませんでした。
「でも・・・今度のお祭りの日には、こっそりと・・・」


 トプシー・ターヴィーの祭りの日。
 こっそり鐘楼から抜け出し、群衆にまぎれ込んで外に出たクラウドは、美しいジプシーの青年セフィロスの踊りに魅せられてしまいます。
 そんな彼を発見した群衆は、彼に残酷でした。
「あれは、ノートルダムの鐘つき男だ!」
 縛り上げられ、みなに追いつめられ、あわや・・・☆という危機のさなか、彼を助けたのは、美しいセフィロスでした。
「なんという美しい少年・・・恐れることはないぞ、私はお前の・・・」
「そこのジプシー!」
 ルーファウスは、怒りと嫉妬にかられて立ち上がります。
「すぐにそこから降りろ。逮捕されたくなかったらば・・・!」
「・・・なるほど、この祭りには山ほどの道化がいるが・・・私の見たところ、唯一の道化は貴様のようだな、ルーファウス・・・」


 クラウドの美しさに魅せられたのは、セフィロスだけではありませんでした。・・・若くて陽気でハンサムな衛兵、キャプテン・ザックスも、クラウドの美しさのとりこになっていた一人だったのです。


 ルーファウスの怒りを買い、ノートルダム寺院に逃げ込んだセフィロス。周囲はぎっしりとルーファウスの追っ手がとりかこみ、逃げることはできそうもありません。
「・・・最高判事の命令だぞ、と・・・寺院のすべてのドアを封鎖して、ジプシーが出てき次第逮捕だぞ、と」
「・・・」
「でも、出てきますかしらぁ、レノ先輩、ルード先輩??寺院の中は聖域・・・、ここにいさえすれば、どんな罪人でも逮捕はできないんでショ?」
「甘いな、イリーナ・・・ジプシーは、石の建物の中では暮らせないんだぞ、と」
「・・・」
 そんな中で、セフィロスは、鐘楼でクラウドと再会します。
「わたしと一緒に来てほしい・・・クラウド」
「セフィ、それはだめ・・・。俺はここからは出られないんだ・・・」
「ならせめて☆」
「あっああん!だ、だめ・・・俺には、ご主人様が・・・あああ!」


 セフィロスは、クラウドの助けを借りて、寺院から脱出しました。クラウドの手に、愛の証の、「奇跡の宮廷」(ジプシーの隠れ家)への地図を残して・・・。
(ここは、CDお持ちの方は、メンケン作曲の「天国の光」聴きながら読んで下さい)
「ああ、セフィロス・・・なんて美しいおかた・・・。彼が俺の恋人だったら、どんなにシアワセだろう・・・。でも、そんなこととても考えられないよ。俺は醜いんだから・・・」
 クラウドはセーヌ川のほとりを散策する恋人たちを眺めおろしながら、ため息をつきました。
「・・・せめて夢をみよう。彼が俺の恋人になってくれる夢・・・」


 セフィロスを狩り出そうと、ルーファウスのジプシー狩りがはじまりました。
「おのれセフィロス・・・。たとえパリ中を炎に包ませても、私はお前を狩り出してやる・・・」
 ジプシーをかくまった、罪のない農家の家族が殺されそうになるのを、ザックスは身を挺してかばいます。そのために追っ手に殺されそうになるのを助けたのは、セフィロスでした・・・。


 セフィロスは、傷ついたザックスを、ノートルダムの鐘楼に担ぎ込みます。
「セフィロス、そのひとは・・・」
「わけを詳しく話している間はない。この男を手当てしてやってくれ。お前しか、頼れる者はいないのだ」
「セフィ・・・」
 セフィロスがザックスを愛している。
 そう誤解したクラウドは、絶望の淵に沈みながらも、愛するひとの願いを退けられず、ザックスの手当てをしかくまうのでした。


 やがて意識を取り戻したザックスは、「ルーファウスがジプシーをみな殺しにしようとしている。警告しに行かなくては・・・」と言います。
(ああ、やっぱりこのふたりは・・・)
 ますます誤解したクラウドでしたが、愛するセフィロスを見捨てることはできません。2人は危険を冒し、「奇跡の宮廷」に潜入し、ジプシーたちに危機を告げました。
 セフィロスは感激して、クラウドを抱きしめました。
「ああ、やはり来てくれたのだな、クラウド・・・」
 クラウドは嬉しかったのですが、はっとザックスのことを思い出し、悲しく身を引きます。
「・・・俺に感謝するな。礼はザックスに言ってくれ・・・」
 そのとき、ルーファウスの邪悪な笑い声が響き渡りました。
「ふふふ・・・、よくここまで手引きしてくれたものだ、クラウドよ・・・」


 ジプシーたちは一網打尽となり、セフィロスは、ノートルダム寺院の真ん前で火刑に処されることになりました。
 クラウドは鐘楼の一室に鎖でつながれてしまいました。
「どうせ、セフィロスはザックスを愛してるんだ・・・俺なんか、どうせ」
 柱に縛りつけられたセフィロスに、ルーファウスがささやきます。
「わたしのクラウドに手を出そうとするからこういうことになるのだ、ジプシーよ。・・・だが、お前がクラウドから手を引き、おまえ自身も私の愛人になると言うなら、命だけは助けてやろう」
 セフィロスは、ルーファウスの顔に唾しました。
「・・・セフィロスは神の慈悲をこばんだ!自ら地獄行きを選んだのだ!」
 わあっと歓声が上がり、セフィロスの足元に積み上げられた薪に火がつけられます。
 クラウドの目に、怒りの炎がともりました。
「ルーファウス、ゆるさん・・・ちょうきゅうぶしんはざーーーん!!!」


 ルーファウスを倒し、ノートルダム寺院に平和が訪れました。
 クラウドは、駆けつけたセフィロスとザックスの手をとり、自分の手で、そっと重ねさせました。
 2人はとまどったようにクラウドを見ています。・・・そりゃそうだ。
「2人とも、シアワセに・・・」
 勘違いから、自ら恋をあきらめてしまったクラウド。2人はとまどいながらも、ツイもののはずみで抱き合い、クチビルを重ねてしまったのでした・・・・。


 こうして、恋には破れたものの、自由を手に入れたクラウド。
 このノートルダムの英雄をたたえる声は、いつまでも、いつまでも、パリ中に響き渡ったのでした・・・。


 ・・・また駄作増やしちゃった・・・。
 さあて、次は「ヘラクレス」でもやるかナ・・・。
 開き直ったあ ぐ り でした☆


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