瀬尾先生


投稿者 せのおさん 日時 1997 年 8 月 26 日 02:23:26:

801で読む超古典・古事記
こんなものまでパロディにする瀬尾・・
最初はザックスでやりたかったのですが、なんかしっくりこなくて・・原作読めば数倍楽しめるかもしれません。(講談社学術文庫の古事記(中))



昔々とあるところに、ややこしいことは抜きにして、小碓命と書いて「をうすのミコト。またはセフィロス」と呼ぶとんでもない乱暴モノがおりました。
そいつは、ちょっと目を離すと自分のにーちゃん(宝条)をさくっと殺っちゃうようなとんでもない奴でしたので、天皇(プレジデント)はこんな奴側に置いといたらとんでもねーぞと御思いになり、とりあえずそいつを辺境任務に追っぱらっちまうことにしました。

「あー・・セフィロスよ(ごほん)。お前に任務を授けよう。実は西のほうにクマソタケルってのがいるんだが、そいつらが全然朝廷のいうこと聞かないんだ。だからちょっとお前が言って懲らしめてきてくれないか?」
「構わないが・・」

本当は、両方の乱暴モノで同士討ちになってくれりゃいいのにってのが天皇様の本音だったのですが、そんな事とも知らないまま、セフィロスは比較的おとなしく旅に出ました。その心の中では密かに「西日本食べ巡りの旅」というタイトルロゴがひらめいていました。

その途中、セフィロスはちょっとトイレを借りに叔母さんであるヤマトヒメノ命(エアリス・笑)の所にも寄りました。エアリスおばさんはコミケ前の修羅場でとても忙しそうでしたが、超絶美形に育った甥っ子を見て狂喜しながら歓迎してくれました。
「ねぇセフィロス♪ちょっとこれ着てみて♪」
エアリスおばさんが出してきたものはどこかで見たような紫色のドレスでした。セフィロスは嫌ぁな予感を感じて後じさりました。
「あらセフィロス、どうしたの?」
「ち・・ちょっとお腹の具合が悪くてな・・そーいう足元の涼しげなものはちょっと・・(汗)」
「そーなの?残念ねぇ。じゃ、それ持ってきなさい。」
「・・え?そ・・そんな・・」
「後でちゃんとそれ着たとこの写真送ってね♪」
「わかった・・(汗)」
本当はその場で突き返したかったのですが、このおばさんは怒らせるとホーリーをかますのでなるべく穏便に事を済ませたかったセフィロスはそのドレスを持ち、刀を懐に入れて(どうやってだ)逃げる様にしておばさんの元を去りました。

それからはしょりまくってここはクマソタケルの家。
そこはちょうど新居が完成したところで、新築おめでとうパーティが行なわれようとしていました。しかしそれでもさすがに警護は厳重で、蟻一匹の入る隙間もありません。
セフィロスはしばらく考えていましたが、やがて(どこかで捨てようと思いつつも捨てようとする度に「それを捨てるなんてとんでもない!(byドラクエ)」というメッセージの流れる)例のドレスを着、パーティーコンパニオンのふりをしてその会場に潜り込みました。

「・・早く殺して・・大和に帰ろう・・」
セフィロスはぽつりと呟きました。するとその肩をぽんと叩いた男がおりました。
「やっほーかわいこちゃん、誰を殺すってー?」
「げ・・クマソタケル@兄(ザックス)・・」
ぎくり。セフィロスの顔に縦線が走りました。
「お、俺のこと知ってんの?いやぁ光栄だなぁ。君みたいな子に殺されるなら本望だよなぁ♪な、俺の所来いよ。弟もいるし。」
「あ・・あの・・いや・・そのぉ・・」
「なんだてれてやんの♪かわいい♪」
「こら・・ちょっとまて・・(汗)」
セフィロスの抵抗空しく、ザックスはその馬鹿力でずるずると奥のほうに引っ張っていきました。

「おーい、ただ今―。かわいこちゃん連れてきたぞー♪」
「あ、ザックスおかえりー♪」
ザックスが声をかけると、人の波の中から一人の少年が出てきました。背中にはバスタードソードなどという物騒なものを担いではいますが、とびっきりの美少年です。セフィロスは思わずときめきモードに入ってしまいました。
「こんにちは。僕ヤマトタケル@弟(クラウド)です♪兄が迷惑をおかけしまして・・」
「いや・・まぁ・・」
ぺこりと御辞儀されてセフィロスは戸惑いました。化けもんだとばかりに思っていたのに、こんなに可愛いなら正直、弟だけは退治せずに捕まえて持って帰ったほうがいいかもしれません。
しかし彼が色々と深刻に思い悩んでる間、ふと二人の兄弟の会話が耳に飛び込んできました。
「もー。なかなか帰ってきてくれないんだからー♪(ぽすぽすっ)」
「ごめんなー♪これでも挨拶回りとか忙しくてさー。でも、俺はいつもお前のことだけ考えてるよ♪」
「僕も♪ザックス、大好き♪」
あの可愛いクラウドがザックスとたのしげにじゃれあっています。その時、どこかで何かが切れる音がしました。
(ぷっちん)
「おのれザックスーーーーー!!!私のクラウドなのにーーーーーーーー!!!」
「お、おいこら、ちよっと待てセフィロス(汗)それじゃ話が違う・う・・・うぎゃあ!」
セフィロスは懐(きっと四次元ポケット内蔵)から正宗を出すと、有無を言わせずザックスの胸に突き刺しました。その時、ありがとうザックス。こんな役でごめんねというテロップが画面下に流れました。
それを合図に(今まで一言も書かれてはいませんでしたが)セフィロスの部下達もなだれ込み、パーティー会場は阿鼻叫喚の地獄となりました。ついでに作者の悪い癖がそろそろ出てくる時間です。さぁ大変なことになりました。

「さぁクラウドおいで・・お前は私だけのもの・・」
「いや・・いや・・助けて・・」
ザックスの屍を乗り越え、セフィロスはじりじりとクラウドに詰め寄ります。その恐怖に耐え兼ねたクラウドはくるりと身を翻すと全力で更に家の奥のほうに逃げ込みました。
「くっくっくっ・・逃がすものか・・」
セフィロスは不気味に笑いながらその後を追いかけました。

「ほうら、もう逃げられないぞ・・悪い子だ・・」
「嫌ぁ!!やめて!来ないで!」
クラウドは階段の下に追いつめられていました。脅えながらも背中の剣を構え、必死にセフィロスに立ち向かおうとしています。セフィロスはそんな様子に残酷な笑みを浮かべながら少しずつ間合いを詰めていきました。もはやこれはパロディであるという作者の意図は完全に忘れ去られています。
「抵抗するのつもりなのか・・?くっくっくっ・・無駄だよ・・クラウド・・お前は私のものなのだ・・」
上段から襲いかぶさってきた剣を軽く振り払い、セフィロスはクラウドを引き倒しました。
「なのに私を忘れてザックスなどと・・悪い子には御仕置きをしなければな・・」
彼はそのまま乱暴に衣類を引き剥がし、勢いに任せて愛撫もなく細い体に己の欲望を叩き込みました。
「ああああああああっ・・!」
クラウドの喉から木目細かい布を引き裂いたような悲鳴が上がりました。自分を犯す征服者から顔を背けることも出来ず、大きく目を見開いたままセフィロスの顔を凝視しています。四肢は苦痛で硬直し、時折痙攣したように指先が動くほかは抵抗することすらできず、その姿は狂暴な獣に食い殺される哀れなウサギを思わせました。

「少し・・やりすぎたかな・・?」
自分の肌に触れるぬるりとした感触に、セフィロスは我に返りました。クラウドの様子がおかしいのです。顔は透明なほどに青白く、呼吸は今にも消えてしまいそうです。
「クラウド・・大丈夫か?」
「お願いです・・そのまま・・動かないで・ください・・」
「・・どうした?」
「あなたは・・どなた様ですか?」
「クラウド・・この期に及んで原作などどうでもいいではないか・・」
「お願いです・・御教え下さい・・」
「・・わかった。私は天皇の息子で本名をヤマトヲグナノ王という。今回は西のほうにいる悪い奴らを始末してこいと言われてきたのだ・・これでいいか、クラウド?」
「まさにそのとおりです・・大和には強い御方がおられるのですね・・そのお名前をたたえて、御名を奉りましょう・・ヤマトタケルノ御子・・」
それだけを言うと、クラウドは息絶えました。白い足の間からは鮮血が溢れ、セフィロスの体を赤く染めていきます。
「嘘だろう・・クラウド?!クラウド、目を開けてくれ・・!!」
悲痛な呼びかけにもクラウドは生き返りませんでした。整った顔に既に死相が浮かび始めています。
取り返しようの無いことをしてしまった自分を責めるように、セフィロスはその血のついた腕で冷たくなっていくクラウドの亡骸をいつまでも抱きしめていました。

「はーい、カット!」
そこで意気消沈したセフィロスの周りがぱっぱっと明るくなり、メガホンを持ったザックスとカメラ・照明スタッフ大勢が現われました。
「ザ・・ザックス・・どうしてここに・・」
「いやー、原作とパロディの兼ねあわせが難しくてなー。」
ザックスは大汗かいてるセフィロスからクラウドを奪うと、懐から緑色のマテリアを取り出してその上にかざしました。
「ま、ほんっきで殺っちまうとは思ってなかったけどなー。クラウド、レイズ!」
ちろりろりんと金色の天使が飛び、真っ赤に染まって死んでいたはずのクラウドが目を開けました。乱れきった髪をかきあげながら、のんびりと起き上がります。
「・・ホントに殺されるかと思った・・」
「・・殺されたんだよ。」
「そっかー。」
寝起きの顔でほけーっとクラウドは答えました。その姿を見てセフィロスはいっそう何がなんだかわけわかんなくなってきました
「そろそろ帰る時間だな・・クラウド、立てるか?」
「うん。」
ザックスの手をちょいと借りてクラウドは立ち上がりました。服はぼろぼろですが、とても元気そうです。とてもさっきまで死んでいた人間とは思えませんでした。
「さ、行こっか。」
「そだね。あーあ、血だらけだぁ。」
二人はすたすたと歩いていきます。セフィロスは慌てて声をかけました。
「え・・おい?私は・・?」
「あ、俺たちゃ出番ここまでだから。セフィロスはこれからイモヅルタケル、じゃなくて、イヅモタケル倒して東方12カ国平定してくんだろ、頑張ってな。」
「え?こ・・こら・・(汗)」
「じゃーねー。」
クラウドがかわいらしく手を振りました。セフィロスも条件反射的に手を振り返します。その隙に二人の姿は煙のように消えました。
「私は・・一体何なんだ・・教えてくれ・・(涙)」
セフィロスは嫌味なほど青い空に向かって叫びました。声は天高く吸い込まれていきました。

そうしてヤマトタケルノミコトとなったセフィロスは愛しい人に裏切られてしまった腹いせから、帰りがけに海と川と山との神をすべて服従させて都にお帰りになったそうです・・。

ちなみに瀬尾の実家から車で10分くらいの所に、日本武尊のお墓があるそうです。ほんとらしいです。


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