パノラマ先生の第2弾

動物園の獣はかわいそうだ。冷たいコンクリートの上で密林や草原の夢をみる。
水族館の魚はかわいそうだ。広い広い海や河の断片に閉じ込められてぐるぐる回る。
でも人間もかわいそうだ。人間もやはりいろいろなものに閉じ込められている。
檻や水槽よりちょっとばかり広いけど、何にも変わらない。
それを知っているからこそ生き物を閉じ込めたがるのかもしれない。
つらい。かなしい。かわいそうだ。
セフィロスの恋人はそう言うと何粒も涙をこぼした。
恋人はゆっくりと、だが着実に弱っていった。
それはまるで野生の誇り高い獣がえさを与えられることを拒否して死んでいく様を見ていくようだった。
仕方がなかったのだ。
恋人がいつかこうなることは分かっていた。出会う前に死んでいなかったのが不思議なくらいだった。
いつも苦しそうだった。 瞳はセフィロスを見つめているようで、遠くの何かを見つめていた。
恋人が求めるものがなんとなく分かっていたから、セフィロスはただその体を抱き締めることしかできなかった。
セフィロスがある日、恋人の好きな水菓子を持って帰ってくると恋人はもういなかった。
代償に冷たい体を残して、恋人は逃げ出した。
なるほど、こうでもしなくては逃げることなど出来なかったにちがいない。
セフィロスは軽い恋人の体を抱えて歩いた。ひたすらに歩くとまっ黒な海にたどり着いた。
月光が一本まっすぐな道をつくっている。
恋人の体をそっと道の上に横たえた。
するとどうだろう。
恋人はすっくと立ち上がり月光の道を歩きだしたではないか。
セフィロスはその姿を見送った。涙がほんの少しでて、乾くのを待っているうちに月は白くなり道はとうに消えていた。


パラレルで文学(?)してみました。
清らかな人は、恋人=女、よこしまな人は、恋人=ク○ウドとか、いろいろ考えてみましょう。


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