ミュウ先生の第3弾
走れセフィロス<3>

はあ・・台風で学校が打ち切りになっちゃったので書きます・・・・。本当は勉強しなきゃいけないけど、どうせもともとなかった時間だから・・・(どういう理屈だこりゃ・・・)
それにしてもテスト前に何馬鹿なことやってんでしょう。不安・・・



 目が覚めたのは、明くる日の薄明のころである。セフィロスははね起き、南無三、寝過ごしたか、いや、まだまだだいじょうぶ、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合う。今日はぜひとも、あの若社長に、神の執念というものを見せてやろう。そうして、笑ってメテオを呼んで、全てのエネルギーと同化してやる。セフィロスは悠々と身支度を始めた。雨もいくぶん小降りになっている様子である。身支度はできた。さて、セフィロスは前髪をさっと整えて、雨中、シスターレイのごとく走り出た。
 私は、こよい、神になる。神になるために走るのだ。身代わりの友を救うために私は神になるのだ。社長の奸佞邪知を打ち破るために走るのだ。走らなければならぬ。そうして、私は神になる。若いときから神を目指せ。さらば、我がコピー。若いセフィロスはつらかった。幾度か、立ち止まりそうになった。えいえいと大声をあげて、自身をしかりながら走った。街を出て、線路を横切り、トンネルをくぐり抜け、五番街に着いたころには、雨もやみ、日は高く昇って、そろそろ暑くなってきた。セフィロスは額に触れた前髪をこぶしで払い、ここまで来ればだいじょうぶ、もはや少年への未練はない。あいつは、きっと一番役に立つようになるだろう。私には、今、何の気がかりもないはずだ。まっすぐにジュノンに行き着けば、それでよいのだ。そんなに急ぐ必要もない。ゆっくり歩こうと、もちまえの威厳を取り返し、大好きなセフィロスコーラスをいい声で歌い出した。ぶらぶら歩いて二里行き三里行き、そろそろ全里程の半ばに到達したころ、降ってわいた災難、セフィロスの足は、はたと止まった。見よ、前方の川を。昨日の豪雨で山の水源地は氾濫し、濁流とうとうと下流に集まり、猛勢一挙に橋を破壊し、どうどうと響きをあげる激流が、こっぱみじんに橋げたをはねとばしていた。彼はぼうぜんと立ちすくんだ。あちこちとながめ回し、また、声を限りに呼びたててみたが、繋舟は残らず波にさらわれて影なく、川チョコボの姿も見えない。流れはいよいよふくれ上がり、ライフストリームのようになっている。セフィロスは川岸にうずくまり、男泣きに泣きながら、セトラに手を上げて哀願した。
「ああ、静めたまえ、荒れ狂う流れを!時は刻々に過ぎていってしまう。太陽も既に真昼時だ。あれが沈んでしまわぬうちに、ジュノンに行き着くことができなかったら、あの心の友が、私のために死んでしまうのだ。」
 濁流は、セフィロスの叫びをせせら笑うごとく、ますます激しくおどり狂う。波は波をのみ、巻き、あおりたて、そうして、時は、刻一刻と消えていく。今はセフィロスも覚悟した。泳ぎきるよりほかにない。ああ、古の神々も照覧あれ!濁流にも負けぬ愛と執念の偉大な力を、今こそ発揮してみせる。セフィロスはざんぶと流れに飛びこみ、ミドガルズオルムのようにのたうち荒れ狂う波を相手に、必死の闘争を開始した。満身の力を腕に込めて、押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんのこれしきとかき分けかき分け、獅子奮迅のジェノバの子の姿には、古の神もあわれと思ったか、ついに憐憫をたれてくれた。押し流されつつも、みごと、対岸の樹木の幹に、すがりつくことができたのである。ありがたい。
セフィロスはずぶぬれになって陸に上がり、黒いコートを一回絞り、すぐまた先を急いだ。一刻といえども無駄にはできない。日は既に西に傾きかけている。ぜいぜい荒い呼吸をしながら峠を登り、登りきって、ほっとしたとき、突然、目の前にタークスがおどり出た。
「待ちなさい!」
「何をするのだ。私は日の沈まぬうちにジュノン支社に行かなければならない。放せ。」
「どっこい放さない、と。持ち物全部を置いてってもらうぞ、と。」
「私には、命のほかには何もない。そのたった一つの命も、これから星と同化する。そして私は神になる。愚かな人間共からこの星を取り戻すために。」
「・・・・・・・・・・その命が欲しいのだ。」
「さては社長の命令で、ここで私を待ち伏せしていたのだな。」
 タークスたちはものも言わずに、いっせいに拳銃を構えた。セフィロスはひょいと体を折り曲げ、オーディーンのごとく身近の一人に斬りかかり、その愛刀、正宗で、
「気の毒だとは思わない。全ては私のためだ。」と猛然一撃、たちまち三人を斬り裂き、串刺し、なぎ払った。後ろにいた兵士も、一人残らず一刀両断すると、ゆうゆう走って峠を下った。一気に峠を駆け降りたが、さすがに疲労し、折から午後の灼熱の太陽がまともにかっと照ってきて、セフィロスは幾度となくめまいを感じ、これではならぬ、と気を取り直しては、よろよろ二、三歩歩いて、ついに、がくりとひざを折った。立ち上がることができぬのだ。天を仰いで、悔し泣きに泣き出した。ああ、あ、濁流を泳ぎきり、タークスを三人も斬り殺し、不倶戴天、ここまで突破してきたセフィロスよ。真の英雄、セフィロスよ。今ここで、疲れきって動けなくなるとは情けない。愛する友は、お前を信じたばかりに、やがて殺されなければならぬ。お前は希代の神になるべき存在、これではまさしく社長の思うつぼだぞ、と自分をしかってみるのだが、全身なえて、もはや芋虫ほどにも前進かなわぬ。路傍の草原にごろりと寝転がった。



本日はここまでです。まだ続くんでしょうか・・長いですね・・・。


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