工藤先生の小説リユニオン第2弾

また駄文を書いたので、深夜にヒソカに送りますね。 続き物でごめんなさーい。



意識の端にひどい気だるさを覚え、ヴィンセントは眼を開いた。拡散していた意識が戻ってくる。
短いうめきと共に、彼は身を起こそうとした。
「お目覚めか、ヴィンセント。」
至近距離で囁く低い声。それは憎んでも憎みきれない男のものだった。
反射的に戦闘態勢を取ろうとしたヴィンセントだが、力を入れたはずの足は全くいうことを聞かない。腰の銃を探ろうとした手も同様だった。
「?!」
まるで他人のような自分の身体に、顔から血液が引いていくのを自覚する。
それは即ち生殺与奪の権利を、全てこの男に委ねてしまったということだからだ。
ヴィンセントの様子を目を細めながら見守りつつ、宝条は殆ど優しいといってもいいような口調で彼に話しかけた。
「神羅が誇る秘密部隊にしてはあっけなかったな。私のような、全く武器の心得のない科学者に後れを取るとは。・・・・おっと、あまり動かない方がいい。君に撃った弾丸は、私の合成した新しい薬品なのだ。一応効果は、四肢の筋肉を弛緩させつつ五感と発声器官を保つというものだと思うが、まだ動物実験もしていなくてね。」
「宝条・・・貴様、どうするつもりだ・・・・ルクレツィアと、彼女の子供を・・・」
「おやおや。・・・・可愛いね、君は。まず彼女のことを心配するとは思わなかったよ。自分自身がこんな状態だというのに。」
微笑みながら、宝条は力無くくたりと転がっていたヴィンセントの身体を実験台の足元にもたれかからせる。そうしておいてから、彼の前に膝をついた。
「さて、君をどうしようか? 」
「私で人体実験するつもりか?この気違い科学者め・・・」
「それも楽しいだろうな。君に与えた薬の効果は、痛みを鈍らせる効果はないのだから。君が痛みに震える表情には、私は大変興味がある。」
宝条は、夢見る人のような目で無邪気に言った。その目で、せめてもの抵抗とばかりに睨みすえてくる彼の視線を心地よさげに受けとめながら、宝条は彼のおとがいを右手で上げた。
「だが、今の私には、人体実験以上にしてみたいことがあってね。」
目を見開くヴィンセントに構わず、目を閉じ左手で眼鏡を外しながら、彼の唇に自分のそれを重ねる。触れるだけのキス。だが宝条には、触れたところから彼の感情が流れ込んでくるような気持ちがした。
「ゾクゾクする。君の憎悪が伝わってくるようだ。」
頬に手を当て、彼の唇を指で辿る。研究者の細く白い指。
「宝条・・・・私をいなくなったルクレツィアの代わりにするのか・・・・?」
その言葉が発せられた途端、彼の顔を愛しげに撫でていた宝条の指が止まった。
「・・・・ヴィンセント、君は結局何も分かっていなかったんだな。」
急に変わった宝条の雰囲気に、ヴィンセントは嫌な予感がして身体をちぢこませた。宝条に与えられた薬の効果で、それはほんの僅かの動きにしかならなかったが。
「・・・分かっていなかったこと・・・?何だ、それは・・・」
その言葉を聞いた宝条は一旦顔を下向け吐息を吐いた。
そしてヴィンセントを、彼が戸惑うくらい切なげな視線で見据えた。それが向けられていたのは僅かな時間だったが、その視線はヴィンセントの心を、何故かひどく痛ませた。痛みを感じたことに、ヴィンセントは戸惑いを感じたが・・・
宝条は、再び長い溜め息を吐いた。それまで口元に刷いていた笑みが消える。
「そうか。ヴィンセント、そうなのか・・・・君は、罰を受けなくてはならないようだな」
そういうなり、戸惑う彼の震えている唇に自分の薄いそれを合わせた。
その動作にはさっきのような優しげな素振りはなく、ヴィンセントは無意識に体を強張らせた。
唇のかたちを丁寧に舌が辿る。ヴィンセントが呼吸の苦しさに口をひらいたところで、待っていたかのように舌を入れこんだ。脅えて逃げる舌を追いかけ、捕らえたところで思う存分吸う。呼吸が苦しくなったのか、口を大きく開けようとする彼の動きに合わせて、舌をほどき、口蓋をくすぐるような動きで刺激する。
そうしながら、タークスのジャケットを脱がせていく。
ヴィンセントは、眉根を寄せてきつく目を閉じ、恐ろしく不快な感触を耐えていた。
どちらのものかわからない唾液が彼の顎を滴り落ちる。それはきっちり止められている白いシャツの襟元に、染みとなって残った。
ようやく解放された時には、ヴィンセントの呼吸はすっかり上がっていた。
「ふざけるな、宝条・・・・」
「ヴィンセント、これは君が呼び寄せた罰なんだ。」
ネクタイをほどき、ヴィンセントが息を呑むのにも構わず、シャツのボタンを一つ一つ外していく。
白く薄い胸があらわになった。
「意外と脱がせても変わらんのだな。着やせするタイプだと思っていたが・・・まあ、これはこれで楽しめるがな。」
酷い言葉に、ヴィンセントは顔を羞恥に赤く染める。
「や、止めろ、宝条・・・・」
かさついた掌が身体を這い回る感触に肌が粟立ち、声が上ずる。
「んん?さっきからそんな事しか言えないのか。仕方ないな。」



・・・・続く(笑)


[ 感想を書こう!!] [小説リユニオントップへ]