工藤先生の小説リユニオン第1弾

「さ、寒い!!」
ここはガイアの絶壁。クラウドたちは今、セフィロスとの決着をつけるためにここに来ていた。パーティメンバーはシドとヴィンセント。おのおの直接攻撃と魔法攻撃、パーティ内最強の実力者である。これならセフィロス、敵にあらず!というカンジだった。
しかし。
「寒すぎるよここは・・・・くしゅん・・・・くぅぅ、セフィロス!」
カタチのいい唇を紫色にして吹雪にわめくお子様が一人。
「・・・クラウド。あまり大声を出すと、雪崩が来るかもしれない。気を付けたほうがいいと思うが・・・」
「ヴィンセント・・・そうかもしれないけど・・・大声でも出してなきゃ、俺凍えちゃうよ・・・大体俺、ソルジャー時代だって、ミッドガルより北に行ったことないんだぜ?」
シドとヴィンセントは、そんな薄着で来るからだ、と同時に思い、顔を見合わせたが、そこは二人とも、大人の余裕(?)でこらえた。
「・・・わかった。クラウド、これを着ておけ。少しは暖かくなるだろう・・・」
ヴィンセントは、身に纏っていた赤いマントを、クラウドの肩にかけてやる。(ため息交じりではあったが)
「ありがとう、すまないヴィンセント」
クラウドは背が低い方なので、そのマントは足首にまで届いてしまう。だがクラウドには、普段無口な彼の心遣いが嬉しく、また実際マントは暖かかったので、それから先彼は、ご機嫌に迷宮を進んだ。
そして。
「ちゃちゃちゃちゃーらーらーらったらー」と、何回かの戦闘が済んだところで、今度はヴィンセントが身体を震わせた。
「くしょい、と・・・・」
戦闘後の一服を楽しんでいたシドが、その小さなくしゃみを聞きつけた。
「おいおい、大丈夫かよ。・・・っと、これ着とけ。無理はよくねーからな」
羽織っていたジャケットを脱いで、彼に着せ掛ける。
「・・・・え?あ、ありがとう、シド・・・」
ヴィンセントは、心なしか顔を赤くして答えた。
その様子にシドは、なんだか居たたまれない感情を覚え、つられ赤面してしまう。
「・・・・」
「・・・・」
お互いの顔を見合わせ、赤くなって別方向を向き合う二人。
「・・・・心が寒いな・・・早くセフィロスに会いたい・・・」
世界に入れないクラウドは、ついついそう考えてしまうのだった。


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