かくや先生の第1弾
『神々の永き不在』

皆さんの許可もおりたみたいですし。
載せちゃいます。FF6。
ただ、話半分でぶった切っちゃってますので、非常に読みにくいかも…。
以下の使用上の注意を詳しくお読みの上、適量を服用してください(笑)。
ちなみに基本はマッシュ・エドです。

【使用上の注意】
 以下の項目に該当する方は、使用されない方が賢明です。
・エド兄受が駄目な方。
・エド兄の相手は弟君以外はいやぁ〜っ!という方。
・不幸ネタが苦手な方。

あと、タイトルの『神々の永き不在』は、かくやがFFシリーズを書くにあたって付けてるタイトルです。
「農業青年といしょやんけ!」という突っ込みはご容赦ください(笑)。
では、どーぞ。



今を溯ること十二年前。
当時の僕たちは、まるでお互いに糸の絡まりあった二つの凧だった。ひとつ身じろぎするたびにそれはより一層複雑に絡み付き、お互いがお互いの動きを戒めていた。
そして互いに良かれと思って、互いにその糸を断ち切ったあの日。
僕たちは知らなかった。
いくら糸を断ち切った所で、僕たちはもう昔のように自由に空を飛ぶことは出来ないのだと。
ただ、風に翻弄されるだけなのだと。
僕たちはまだ、気づいていなかったのだ。
凧の糸は運命の糸。
複雑に絡み合い、僕たちの動きを邪魔していたようなそれは、もしかしたら繋がっていたのかも知れない。
そして。
それを自ら断ち切ってしまった僕たちに、正常な未来などというものは、もう残っていなかった。

神々の永き不在��

元々中立の立場を取っていたナルシェに、帝国への反乱を促すのは容易ではなかった。一国全体が毒殺されたドマ国や、同盟を結んでいたはずのフィガロ王国にさえ帝国が侵略したという事実を知ってなお、ナルシェ長老の表情は硬い。
「サウスフィガロはもう帝国の手に落ちた。じきに帝国軍がこっちへやって来る。ぐだぐだ言ってる暇は無いはずだ」
言い募るロックは最早、焦りを隠し切れていない。
「…サウスフィガロが…」
「そうだ」
自分の言うことが信じられないのかと、ロックは自信満々に頷く。
少しの間沈思するように黙りこくった後、長老の視線は彼に反乱を進めるバナンやロックにではなく、部屋の隅に立っているエドガーに向けて注がれた。
「案外、あなたも帝国とグルなのではないのか?フィガロ王」
「長老!」
予想外の言い分に半ば呆れ果てたような視線が長老へと集まる中、慌ててジュンが彼を諌める。
「何馬鹿なことをいっておるのじゃ。エドガー様は我々リターナーの一員。確かに表向きは帝国と同盟を結んではいたが、それは既に破棄されておる」
「…帝国の圧力にすら抵抗し切れず、近年動きらしい動きを見せることのなかったリターナーに、どれほどの説得力があるというのだ。儂は、フィガロ王に尋ねておるのだ」
エドガーは軽く腕を組んだ状態で壁に身体を預け、表情を宿さない視線を長老へ向けていた。
否定とも肯定ともつかない静かなエドガーの様子に、ロックの焦りは余計に募る。
「…何だと?」
息巻くロックをバナンが制した。
「…教えて欲しい。何をあなたはそんなに疑心暗鬼になっておられるのか?何故突然、よりによってフィガロ王に矛先を向ける?」
「…その調子では本当に御存じないらしいな、バナン殿」
長老はこれ見よがしにため息を吐いた。
「腐ってもナルシェはこの世界唯一の中立都市じゃ。生き残るために、情報網は世界中至る所へと張り巡らされておる。…勿論、帝国にも」
「それが…」
長老はその視線を再びバナンからエドガーへと移した。
「あなたが帝国皇帝と愛人関係にあったことを儂が知らないとでも思っていたのか、フィガロ王?」
奇妙な沈黙が辺りに流れた。
皆の視線が一斉にエドガーへと集中する。
それでも彼は依然腕を組んだまま、静かに長老を見つめていた。
「国や民の為ならどこまででも恥を捨てることのできるお方だ。今更リターナーを裏切ることくらい…」
「嘘を吐くなぁっ!」
言葉を遮ったのは、マッシュだった。怒りの心の赴くままに、憤怒の形相で長老へと掴み寄る。
「あんたが一体どれほど偉い奴か知らねえけどなあ、兄貴を侮辱することだけは絶対に許さねえ!」
胸座を掴み上げ、拳を振り上げたマッシュに鋭い制止の声がかかった。
「いい、マッシュ。止めろ」
エドガーだった。先程から一声も挙げずにただ話の行方を見つめていた彼が、ここに来て漸く声を発したのだ。
「でも、兄貴。こいつ…」
予想だにしなかった兄の制止に、マッシュは戸惑いが隠せない。彼のために良かれと思ってした事であったのに、と。
しかしエドガーは真っ直ぐマッシュを見つめ、軽く首を振った。
「いいんだ。…事実なんだから」
長老の身体が大きな音をたてて床に激突した。
だが、床に崩れ落ちる彼を助け起こすものは誰もいない。
ただ、全員が耳に入り込んだ言葉の意味を掴み損ね、呆然と立ち竦んでいる。
「エドガー……」
誰もが無言でいる中、唯ひとりロックが気遣うような声を掛けた。エドガーは彼を振り向き、軽く笑って首を振る。
「どのみちいつかはばれると思っていたんだ」
力任せのマッシュの拘束から逃れた長老は、床に伏せたまま激しく咳き込んだ。
「…外部には漏れておらんでも、帝国上層部では最早公然の秘密じゃ。そちらの元将軍とやらは、ご存知なのだろう?」
「確かに…噂では…」
確かに聞いたことがあった。
会談だの条約の改正だので皇帝がやたらとフィガロ王を呼び寄せているのは、皇帝が同盟を盾に取り、彼に肉体関係を強要しているからだ、と。
「でも…それはあくまでも噂で…」
呟くセリスの声は微かに震えている。
「火の無い所に煙は立たぬとはよく言ったもんじゃ。散々帝国にへつらっておきながら、今になってリターナーに鞍替えか」
半ば嘲笑のような物言いを受けながらも、エドガーは長老を見据えたまま、何も言葉を発しようとはしなかった。対照的な二人の様子にさすがに言い過ぎなのではないかと周りで見つめる者の方が心配になってくる。
「それともそこの魔導の力を持つ娘を手に入れて、今度はあなたが世界の覇権を手に入れようという魂胆か?」
突然話の矛先が自分へ向けられ、ティナはびくりと肩を震わせた。
「わ…私…は…」
おずおずとエドガーを見上げる。その縋るような瞳に気づいて彼は小さく微笑んだ。
だが、再び長老へと戻された途端にその表情は先程までとは打って変わったものになっていた。
穏やかな光を宿していたはずの碧眼が、一瞬にしてその暖かみを失う。彼自身、別に表情を変えたというわけではないのに、一瞬にして周りに纏っている空気の色が変わっていた。
「………っ!」
今の今まで威勢良くエドガーを嘲っていた長老は、その場に固まった。
「…確かに今の時代、自分のすぐ目の前の人物から疑ってかかるのは正しい判断ですよ」
 言葉を区切り、部屋の端から中央へ、つまり長老の座する席の前へと歩み出る。
「しかしそれはナルシェが世界から中立都市として認められていた時期までのことだ。今は違う。どれだけ周りを疑ってかかっても、結局は帝国に反乱するか、服従するかのニ択しかあなたの目の前には選択肢が無い。確かに私は帝国皇帝とはそういう間柄だった。それは事実だ。だからあなたがそこを指して私を糾弾するのも仕方の無いことだろう。しかし、彼らは違う。彼らは私とは無関係だ。無関係の人間まで疑って、一体あなたはどうするおつもりなのか?」
テーブルの上に軽く右手を置き、左手を腰に当てた状態で屈み込むようにして、椅子に座り直した長老の瞳を覗き込みながら一息に言葉を紡ぐ。日頃が温厚なだけに、表情の伴わない彼の言葉は、一種の凄惨さを含んでいた。
「先程からのあなたの言い分を聞いている限り、私がどのように言おうともあなたは私に対する猜疑心を拭い切る事は出来ないだろう。私にしても、正直な所砂漠の真ん中に置いて来たままの城や、帝国軍に占領された町の事で頭が一杯だ。この上あなたに私を信頼してくれと説得しきるほどの元気も根気もない。だからその辺の面倒は放っておいてこれだけしか言わない。帝国軍はサウスフィガロを占領した。そしてもうすぐここへやって来る。さあ、リターナーと手を組むのか否か?」
年の差が孫ほどもあるだろう青年の言葉に、長老は固まったように動かなかった。
 ただそこに立っているだけでその場の空気を変える王者の風格というものが確かに彼にはあった。この場に居合わせているもの全員が、彼の発する雰囲気に飲み込まれてしまっている。
「我々とて…」
 押し出すようにして発された長老の言葉は、先ほどとは打って変わり、驚くほどに小さい。
「我々とてむざむざ帝国に屈したくはない。だが、あなたの与するリターナーを信じてしまうには、我々は余りに疑り深すぎるのだ」
「つまり、私がいる限りどうあってもリターナーを信用する事が出来ないというわけか」
 小さく吐息を吐くと、エドガーは長老へ向けて屈んでいた身体を元に戻した。
「分かった。それじゃあこうしよう。私は今この時点をもって、リターナーから一切手を引く」
「エドガー!」
 驚いたのは話の成り行きを見守っていたロック達の方だった。突然何を言い出すのかと全員が一斉に驚きの声をあげる。
 エドガーはだって仕方ないじゃないかと振り返った。
「リターナーにしてもナルシェにしても、今手を組んでしまわなければどうにもならない。それにたとえしぶしぶ手を組んだとしても、お互いにわだかまりの残った状態では満足に戦う事も出来ないだろう?」
「だからってお前が出て行く事はないだろうが」
ロックの言葉にバナンは大きく頷いた。
「そうじゃ。それに、フィガロはどうなる?既にサウスフィガロは帝国に占領されておるのじゃぞ?」
エドガーは軽く笑った。
「そうですね。もう、お手上げするしかないでしょう。大人しく投降します」
「死にたいのか!」
「三竦みの状態のまま全滅するよりは余程善策だと思いますが?」
的確なエドガーの表現に、一同は返す言葉が見付からなかった。
「ここでリターナーとナルシェが手を組めば帝国軍の侵攻は食い止められるでしょう。連中もまさかナルシェが外部と手を組むとは思っていないはずだ。そこでティナが氷漬けの幻獣をなんとかすれば反撃の糸口が見付かるかもしれない。目隠しの綱渡りのような状況は変わりませんが、ここで仲良く全滅するよりは遥かにいいはずですよ」
「だが…あなたはどうなるのだ?」
呆然とバナンは呟いた。
「さあ。死んだ方がましなことはされるかもしれませんが、少なくとも殺されはしないでしょうね。彼とは長い付き合いですが、殺してくれと頼めばどんな方法を使ってでも生かすような面白い性格の人間ですから」
 空恐ろしい事をまるで世間話のように語るエドガーの表情から、ついに感情は読み取れなかった。
「『生き残る』だけなら、案外簡単なんですよ。その方法を云々しなければね」
「あなたには、国王としてのプライドというものがないのか!」
 これまた呆気に取られた長老が叫ぶ。
 エドガーは間髪入れずに返した。
「この時代、上に立つ人間がそんなものを持っていれば、皺寄せを食うのは下にいる人々ですよ。今まで税金その他で散々養ってもらっておいて、危なくなればはいさようなら、という訳にもいかないでしょう。国王が何の為に国にいると思ってるんです?彼らの生活を守るのはあくまでも義務であって、プライドだのなんだのというかっこいいものじゃない。私はただ、今自分が出来る最善の事をしているだけです」
 誰も、何も言い返す事が出来なかった。
 彼と自分の間にある立場の差というものがあまりにもはっきりしすぎていた。
「では、そういう事で」
「待ってくれ!」
 そう言ってドアを開けようとしたその時、後ろから声を掛けられてエドガーは振り返った。
「お待ちいただきたい」
 声を掛けたのは長老だった。座っていた椅子から立ち上がり、おずおずとエドガーのいる戸口へ歩み寄る。
 エドガーは何も言わなかった。何も言わずにただ、ドアノブに掛けていた手をゆっくりと下ろし、振り向く。
「あなたは一時的にしろ、リターナーと手を組まれた。そして言われたな。自分の出来る最善の事をしているのだと」
「ええ」
 エドガーは大きく頷いた。
 長老は上を向き、今度はしっかりとエドガーの視線と自分のそれを合わせる。
「帝国の下に屈したのも、それが最善だと思われたからか?」
「まだ年端もいかない若い王には、帝国に反旗を翻すほどの力も周りへの信用も無かった。だったらおとなしく力を養うしかないでしょう。生きてさえいれば転機は自ずとやって来るものです」
「…そして、今がそうだと?」
エドガーの答えには迷いがなかった。
「今を逃せば、全てが終わります」
 その返答に、長老はしばしの間沈思するように考え込んだ。腕を組み、自分の足元とエドガーの顔を交互に見る。
「……!」
 次の瞬間、長老が取った行動は皆の度肝を抜いた。
 彼は硬い石の床に片膝をつき、エドガーに向けてその頭を深く垂れた。
 ナルシェ長老が、フィガロ王に跪いたのである。
「貴方に対する先程までの非礼を謹んでお詫び申し上げる。どうか、我がナルシェをお救い願いたい」
「……救うのは私じゃない。あなた方だ」
 エドガーの返答はごく簡潔なものだった。だがその口調には先程までの刺々しいまでの冷ややかさは含まれておらず、いつもの穏やかな温もりが戻っている。
「さあ、頭を上げてください。こんな事をしている間にも帝国軍は刻一刻とナルシェに近づいて来ている」
 エドガーはそう言って長老の両肩に手を添え、彼を立たせてやった。その瞬間、長老の家のドアが大きな音を立てて開いた。
「大変です…!帝国軍が…!」
 走り込んで来たのは、ナルシェのガードだった。全速力で走って来たらしく、息を切らしながら長老の下へと歩み寄る。
「奴等の狙いは氷漬けの幻獣じゃ。長老、幻獣はどうした?」
 バナンが叫ぶ。長老は即座に答えた。
「裏の山に移した」
「よし、ではそこで迎え撃つぞ!」
 エドガーの指示に異論を唱えるものは誰もいなかった。


「しっかしお前がパーティーを抜けるって言い出した時はどうしようかと思ったぜ」
 幻獣の移された裏山へ移動する途中。ロックはエドガーに向かって大きくため息を吐いた。
「あ?ああ、あれか」
 前の方で何やらセリスと話し込んでいたらしいエドガーは、歩みを止めてロックが追いつくのを待った。ロックが自分の隣に来た途端、その瞳が瞬時に悪戯じみたものになる。
「単なるはったりだよ。あれは」
「は?」
 思わずロックは聞き返した。
「あのじいさん、俺が帝国のスパイなんじゃないかと疑ってるわりにはティナやセリスを疑おうとはしなかった。これはただ気が動転してるだけだな、と思って一芝居うってみたら…」
「…ころりと引っかかりやがった、って?」
 エドガーは答えなかった。ただ、悪戯っぽい笑みをより深くする。
 疲れがどっと押し寄せて来たような気がして、ロックは大きくうな垂れた。
「ああ、そうだよ。お前って奴はそういう男だよな…」
 心配した俺が馬鹿だったとがっくりと肩を落とす。エドガーはまあまあ、とその肩を叩いてやった。
「でも…、俺が帝国皇帝の愛人だったってのは、事実だからな」
「エドガー…」
 突如口調を変えたエドガーに、ロックはうな垂れていた顔を上げた。エドガーは前を向いたまま、目の前に広がる真っ白な光景に目線を向けていた。
「そればっかりは…何て言われても仕方がないと思ってる。でも、それがもし今回みたいにお前たちの足を引っ張るような事になったら…」
「……なぁーに言ってんだよ!」
 ロックはエドガーの背中を思い切り叩いた。あまりの力の大きさに、エドガーは思わず二、三歩よろけて前へ進み出る。
「ろ、ロック?」
「何馬鹿な事言ってやがるんだ?今日お前が皇帝の愛人だったって事を皆が知って、誰かそれをなじったか?誰かそれを迷惑だとお前に言ったのか?」
「いや…」
「だったらそれでいいんだ。誰もそれを迷惑だとは思っていない。お前は今まで通りでいいんだ。お前も俺達も何も変わってない。それでいいじゃないか…」
 な?と念を押すように言われて、エドガーは半ばその剣幕に呑まれてしまったように頷いた。
「よし。じゃあこの話題はここで終わりな」
 きっぱりとそれだけ言うと、ロックは再び前を向き、幻獣の氷漬けが移動されたという崖までの道を歩き始めた。エドガーもその後ろを着いていくように歩みを進める。
 雪のちらつく山道は視界も悪く、足元の状態もかなり悪い。彼らは白い息を吐きながらそれからはただ黙々と足を踏み出すのみだった。
 暫くすると、麓のナルシェが騒がしくなってきた。振り向くと、薄暗い街の中で小さな光がちらちらと忙しなく動き回っている。
 ロックは傍らのエドガーに囁いた。
「…麓が騒がしくなってきたな。帝国軍が到着したのかもしれない」
 ロックの言葉に動かされるように、エドガーも後ろを振り向いた。
「早く行こう。奴等が来る前にそれなりの陣形を確保しておく必要もあるし…」
 ロックはエドガーの肩を軽く叩こうとして…止めた。
 遥か下のナルシェを見つめるエドガーの目線。
 いや、彼が見つめているのはその遥か彼方。ナルシェの彼方に見える朧げな光の群れは…。
(帝国か!)
 その時、ロックの耳にエドガーの小さな囁きが入り込んだ。
「………が…………訳にはいかないんだ…」
 掠れがちなその声を正確に聞き取る事は出来なかった。ただ、そう呟いて彼方を見つめるエドガーの姿に、ロックはえもいわれぬ不安を感じた。
 綺麗な二つの青は何も映していなかった。
 空虚な。
 冷徹な。
 なんて荒廃した、彼の瞳。



ってな感じで進みます。
なにぶん始めて書いた文章ですので(半年近く前)読みにくい事この上ないでしょうが。
…いかがなもんでしょう。会長。
これでもついて来ていただけますかっ!?

安藤:どこへでもどこまでも憑(笑)いていきます〜♪

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