投稿者 イベント帰り浅木かいと 日時 1997 年 7 月 27 日 19:29:24:
めちゃめちゃ久しぶりの小説投稿でっす。初めての一人称・・・。前よりさらにゴミですが(そして長い・・・)よんでやってくださいねっ。
アタシの戦う理由って何だろう。
そんなの考えたことなかった。
でもクラウドが、「故郷に帰って戦う理由を確かめてこい」っていうから、アタシは仕方なく、ウータイに帰ることにした。
なんとなく、このままじゃすっきりしないしね。
出かける前に、アタシはヴィンセントに会いに行った。自分で何でこんなヤツの所に来ちゃったんだろう、って思ったけど。でも、なんとなく、行く前に会いたかったんだ。
出迎えてくれたヴィンセントは、突然のことに驚いてたみたいだったけど、ゆっくりドアを開けて、アタシを入れてくれた。朝日がレースのカーテン越しに差し込んでて、白いシャツの彼を包んでいた。バンダナもマントもないコイツもけっこーカッコイイじゃん、何てことを思いながら、さっき入れてくれた時の彼を思い出す。・・・・・・ちょっとだけ、笑ってた気がした。・・・誰でも見逃してしまいそうな、ほんの小さな、変化だったけど。
何でアタシはそんな事に気づいたんだろう?
とりあえず、ウータイに帰ることを告げると、彼はいつもの冷めた表情で、そうか、と言った。なーんかあんまりにも反応がつまんなくて、アタシは「もうちょっと寂しがってくれてもいいんじゃない?」って冗談で言ったら、アイツ、マジに受けたのかな。アタシに近寄ってくると、きれーな指をのばしてきて、アタシのほっぺたにキスをした。
いきなりのことだったから、そんな柄じゃないのはわかってるけど、アタシは顔から火が出そうになって、うつむいちゃったよ。そしたらアイツは意地悪く、もう行く時間じゃないのかーなんていけしゃーしゃーと言ってくれちゃってさ。自分が何したのか全っ然気にしてないみたいだった。
とにかくホントにはずかしくって、アタシはそそくさと部屋を、ハイウインドを出て、山チョコボにまたがった。
久しぶりに帰ったウータイは、どっこも変わってなかった。
江戸っ子オジサンの武器屋さんも、気さくなオバサンの道具屋さんも、カメ道楽の表の掃除してる優しいおじさんとか、赤い建物が並ぶ風景も、とにかくなぁんにも変わっちゃいなくって。発展してないっていうかまあ、そんなこと言ったらオシマイだけど、でも本当になんにもも変わってなくって、アタシ、何だかホッとしちゃったよ。
そんなことを考えながら、アタシはオヤジの家に足を向けた。
オヤジの家・・・っていうかアタシの家でもあるんだけどここもやっぱり何も変わってなかった。
なんとなく入りにくくって、しばらく玄関の前をウロウロしてたら、いきなりガラッ、と戸が開いて、小さい頃から知ってる、ウチの家政婦さんが出迎えてくれた。やっぱり彼女も変わってなくて、アタシをオヤジの部屋に連れてってくれたら、お茶を持ってきますね、と言って、キッチンの方へ言ってしまった。アタシは何となくドキドキしながら、アタシが小さい頃に開けた穴を塞いだ跡が残る障子を開けた。
オヤジはちょっと老けたみたいだった。運ばれてきたお茶と、覚えててくれたらしい、アタシの大好きなお菓子をいただきながら、アタシは帰ってきた理由を言ってみた。
「アタシ、何のために戦ってるんだろ」って呟いたのが聞こえたみたい。オヤジは自分が戦士だった頃のこと、話してくれたんだ。考えてみたら、昔話なんてしてもらったの、初めてかもしんない。
・・・私は一番大切なこのウータイを、守りたかった。守ることが、戦う理由だった、ってね。
最初はなーにカッコつけてんだこのオヤジィ、とか思ったけど、次の言葉を聞いて、ちょっと考えちゃった。
・・・お前の大切なモノ、大切な人、それらを失いたくないと思えばそれがお前の戦う理由じゃないか?大切なモノがある世界を守れば、それを失わずにすむ・・・・好きな男がいるんだろう?
オヤジのその言葉に、アタシは真っ赤になるのが解るくらいドキッてした。必死になって、否定する。けどアタマのどっかで・・・ううん、思いっきりアタマの全体で、今朝のヴィンセントを考えてた。それでもやっぱり信じらんなくって、思いっきり否定した。なのにオヤジってばここ何年も見たことない笑った顔で隠さなくてもいい、お前はいつまでたっても頑固者だな、って大笑いしながら言った。
お前以外なら誰でも知っているぞ?あの黒い髪の男だろう・・・ってオヤジは言う。
アタシは自分の気持ちを確かめるように、ヴィンセントがキスをくれたほっぺたに手を当ててみる。なんだかまだ、ぬくもりが残ってる気がして、それを確かめたくて、アタシはそのまま目を閉じた。
ホッとするようなアイツの存在を、そのほっぺたと、自分の胸に・・・感じた。
うん、わかった。アタシ、今までよくわかんなかったけどこれではっきりしたよ。
あんまり認めたくはないけど、アタシってばアイツのこと、思いっきり大好きなんじゃん。もう、やだなあ。自分でセーブ出来ない感情ってこれほどやっかいなモノはないよね。・・・でも。
アタシこんな経験なかったからわかんないけど、たぶんこれって、いいことだよね。
しかし、今日は何となく、オヤジがオヤジらしく見えたなあ。久しぶりにアタシ、娘になったって感じかな?
そんなことを話してるうちに夕方になっちゃって、そろそろ帰ろうとしてた時に、家政婦の彼女が、お迎えが来てますよ、って言った。アタシがだれ?って聞くと、赤いマントの方ですよ、とにっこり笑って言った。アタシは急にドキドキし始めちゃって、どんな顔して会えばいいかわかんなくなっちゃった。けど、とにかく自分らしくいようと思って、玄関を出た。
外に立っていたヴィンセントは、夕日に照らされた黒い髪がとってもきれいで、赤いマントがオレンジの日差しにとけ込んでいて。いつもよりすごくかっこよくてアタシはやっぱり意識しちゃった。ハイウインドが山の向こうだからといって、彼は金のチョコボを指さした。アタシの山チョコボでも行けるって事知ってるはずなのに。でもそれを知ってて迎えに来てくれたアイツの優しさがすっごくうれしくって、アタシはチョコボに飛び乗った。前に座った彼の腰にしっかり手を回したら、それを合図にしたみたいに、金のチョコボは思いっきり走り出した。
冷たい顔とは裏腹に、彼の背中はとっても暖かかった。それだけでアタシ、すっごくしあわせになっちゃって、さっきのオヤジの言葉、解ったような気がした。・・・この人を失いたくないなって思った。それがアタシの戦う理由なんだな、って、ちょっと解った。
帰り道、背中に顔を付けて、アタシはぽつん、戸呟いてみた。
大好き、ってね。
聞こえたかどうかは知らないし、顔が赤く見えるのも夕日のせいかもしれない。
でもアタシ、見逃さなかったよ。
チョコボの動きが一瞬、ガクッてきたのを。
ふひょえぇぇぇぇぇ・・・・。な、長いぃぃぃ・・・・。
一人称ってむずかしいですねえ。
なんだかヴィンユフィではなくユフィの話になった気がしないでもないんですが(苦笑)
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