姫先生の第5弾


投稿者 姫(またまた、駄作) 日時 1997 年 8 月 01 日 18:41:25:

「お前・・・、何をしるんだ?こんな処で、と」
「あなたは・・・」
背中にかけられた声に振りむいたクラウドは、少しばつの悪そうな顔つきで曖昧な笑みを浮かべた。
神羅ビルの最上階。眼下に広がる魔晄炉に支えられた街。見晴らしのいいここには、しかし、中枢部とはまったく逆に位置し離れている為、滅多に人が来る事はない。
それでも、一兵卒でしかないクラウドが、入り込んでも良い場所でもない。
「えーと・・・。」
痩身な体躯、鋭い目付き。紅い長髪。神羅カンパニーの影の部分をになうタークスの一人である彼を、もちろん、クラウドは知っている。
身近に接するのは、初めてだが・・・。
とんでもなく大変な相手に見つかってしまったような気がして、クラウドは瞳を泳がせる。
「・・・ま、別にいいんだな、と」
微かに肩を竦める動作で笑ったその人は、すーっと猫科の獣を思わせる動きでクラウドの横を通り、窓に歩み寄った。
「あ・・・あの・・・。」
てっきり咎められると思っていたクラウドは、戸惑いを隠せない。
「確か、ソルジャーのセフィロスが来ていたんだな、と。」
眼下に視線を向けたまま。
「あ・・、はい。」
クラウドはこくりと頷いた。ソルジャーであるセフィロスとザックスのお供でここに来たのだが、彼らを待つ間に退屈してビルの中をうろついているうちに「ここ」に辿り着いたのだ。
「お前・・・クラウドっていったんだな、と?」
彼は、不意にくるりと向き直るとクラウドを見た。
「・・・・知っているんですか?」
クラウドは驚いて、不躾な事も忘れて、彼をまじまじと見かえしてしまった。
驚くクラウドにふっと笑みを浮かべる。
金色に輝く癖のある髪の毛。まだ少年くささが抜けきっていないような、顔。鍛えてはいるのだろうが、身体の線の細さが目立つ。
最近、一兵卒でしかない者を、ソルジャーの中の英雄が連れて歩いている事を聞いたばかりだった。
「ふーん、あの化け物のお気に入りなんだな、と。」
「ば、化け物って・・・セフィロスのことですか?レノさん。」
レノの言い方に、クラウドは焦る反面、彼独特の話し方に興味を持った。
「お、俺は、別にセフィロスのお気に入りなんかじゃ、ないですよ。」
ついでに、彼の認識の違いを指摘する。
確かにセフィロスと行動を共にする事が多くはなったが、それは、親友のザックスがセフィロスと行動を共にしているからに、過ぎない。
話をする事は少なく、相変わらずセフィロスはソルジャー志願のクラウドにとって憧れの人だ。
「そう聞いていたんだな、と。」
噂を否定するクラウドに、レノもまた、興味を持った。
まだ一兵卒だという事は、ソルジャーになるにはまだ力が足りないのだろうが、何かを感じる。それが、何なのかは、わからないが・・・。
もっとこの青年の事を知りたいと、裏の世界で生きるようになってから久しく感じる事のなかった他人への関心を抱いた。
「レノ・・・でいいんだな、と。」
「え?レノさん?」
レノの言いたい事が理解できず聞き返すクラウドに、もう一度、呼び捨てで構わないと、レノは言った。
「俺も、クラウドってよぶんだな、と。」
「え?え?えーと・・・。」
親しげに呼ばれて、クラウドは、焦りまくる。
そりゃ、当然だ。相手は、タークスのメンバーで。クラウドは、ただの一兵士でしかないのだから。
クラウドの反応に、レノは愉快そうに笑った。
「ここは、俺の気に入りの場所なんだな、と。来たい時、いつでも来るといいんだな、と。」
実は、彼が破顔するなど、滅多にない事をクラウドは知らない。
もともと、物怖じしない明るい性格だ。一瞬迷って、クラウドもにっこりと笑った。
「じゃあ、来た時はレノに声をかければいいんだな、と(^^)。」


この数日後、悪夢を迎える事など知る由もない・・・。


終わり(^^;;)



レノ書きたかったのに・・・・何か・・・違う(泣)
かっこいいレノは何処にいったぁぁぁぁ!!
どなたか、かっこいいレノを書いてくださーい!!!(切実)
出来れば、やほひは、無しで(^^;;;;<我が侭(^^;;;
くそう!くやしいから、****さんに送った短編も載せちゃる!!



タークスビルの瓦礫の跡。
風が吹くたびに舞い上がる土埃の中に、一人の男が立っていた。
紅い長髪が、ふわりとたなびく。
その瞳は廃虚と化した野望の爪痕を、冷たく見つめていた。
「さてと・・・、餞別はなしなんだな、と・・。」
その声は、むなしく風に消える。
くるりと背を向けた彼に、声が聞こえたような気がして、彼は足を止めた。
「いりーな・・・?」
脳裏に蘇る、かつて仲間だった人の笑顔。
その笑顔は滅多に見られず、しかも、自分とは違う人に向けられていたというのに・・・。
「遅すぎたんだな、と・・・。」
珍しく、彼の冴えた瞳が虚しさに曇る。
そのまま、そこを立ち去ろうとしていた彼は、鼻の頭を照れくさそうに掻くと、廃虚にもう一度視線を戻した。
手に持った白い花の花束を、放り投げる。
「お前の為に!」
弧を描き、瓦礫の中に消える白。
「お前だけのために・・・」
呟いて、背を向けると、彼は二度と振り向かず、砂塵の中に消えた・・・。



おまけ・終わり(^^)


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