姫先生の第3弾


投稿者 姫 日時 1997 年 7 月 29 日 16:39:35:

『約束の地』

緩やかな小高い丘の上。さらさらと草の上を流れていく風。柔らかな陽射し。取り巻くすべてが暖かな星の呼吸。
吹く風に身を任せながら、ザックスは何故、ここに居るのかずっと考えていた。
辛い記憶も優しい思い出になるだけの時は流れ、星は命を育み続けている。
何かをしたかったのかと、問われれば、答えはもう、記憶の彼方にあるような気がする。
それでも、ザックスは、何処へも行かず、そこに、寝転がっていた。
時の流れの中で、記憶が風化しつつある今も、そこに留まっていた。

「どうしても、行くのか・・・?」
紅い瞳が、どこかしら責めるような、あるいは咎めるような色を浮かべてクラウドに問い掛ける。
クラウドは彼の瞳に含まれたすべてをわかっていて、はっきりと応えた。「行くよ。」
ニブルヘイム。クラウドの故郷であり、悪夢の始まりの地。
小さな街は、時とともに逞しくその息を吹き返し、穏やかな人々が穏やかに暮らしていた。
しかし、クラウドにとって、そこは、いつまでも悪夢の土地でしかなく、時が優しく流れた今でも、夢の中、叫ぶクラウドをヴィンセントは知っている。
「行って、確かめたいんだ。」
それでも、クラウドの意志が宿る星色の澄んだ瞳は、まっすぐにヴィンセントの瞳を見つめ返していた。
「確かめる?」
「・・・・ああ。」
ゆっくりと閉じられる瞳。その口元が微かに浮かべている笑み。
ヴィンセントは、首をかしげる。
ニブルヘイムへの道中、確かに少しずつクラウドが変化したように感じていた。が、それが何なのか、その理由も正体もわからない。
大きく溜め息をつくと、
「わかった。一人で大丈夫だな?」
考える事は放棄して・・・おそらく考えても、答えはでないだろうから・・・くしゃりと、癖のある金色の髪の毛をかき回した。
「たりまえだろ?!」
出会った頃の少年のような明るい笑顔を残して、クラウドは眼下に広がる故郷へと駆け出した。

草を分けてかけてくる足音に、ザックスは閉じていた瞳を開いた。
流れる雲を追い、風とともに拡散しつつあった意識を、かき集める。
何故だか、心が騒ぎ意識せよ!と警告を発している。
誰かが、来る。
誰かが、かけてくる。
誰だ?ここに訪れるのは、風や鳥や花々だけ。
誰だ・・・っ?!
強く意識した、その時。
「ザックス!!」
とても、懐かしい・・いや、愛しい声が聞こえた。

―――――――――― 約束したね。
ここで、会おうと。
約束したね!生きていく事を。
とても大切な、とても大事な約束だから生きていく事が、出来る。
それを、どうしても伝えたくて・・・。

…FIN



自己満足♪
ザックスが好きーーー!
ザックス×クララのほのぼの♪に、今はまってるなぁ・・・(^^)
これは、小説じゃなくて・・・詩的な感覚で書いて見ました。
短いけれど、自己満足!!(しようもない奴です(^^;;))
今度は、レノの短編に挑戦しようかなーーー!(爆)
私信:とりさーーん!根暗っちなセフィ×クララは、もう少し待ってて下さいね!!(いやぁ・・・ほんと、暗いっすよ?)(^^;;)


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