チープサイド先生の第5弾

投稿者 チープサイド 日時 1997 年 8 月 14 日 13:18:49:

今度はエアクラ書いちゃいました。
クラウド君ちょっと子どもです。エアリスちょっとお母さんです。


 人が出て行く気配がする。エアリスがうっすら目を開けると、クラウドが立ち上がっているのが見えた。みんなに気付かれないように、そっとふすまを開けて出て行き、みんなが寝ていることを確認すると、また静かにふすまを閉める。
エアリスも起き出して、クラウドの後を気付かれないようにつけて行く。クラウドの様子がおかしい気がした。
外へ出た。ウータイの夜は電灯もないので暗く、月明かりがとても美しい。
エアリスが満月に見とれていると、クラウドはダチャオ像の方へ向かって歩いていく。50メートル程距離を置いて、エアリスがそっと後を追っていく。昼間、マテリアをもってにげたユフィを追いかけて駆け回った場所なので、少し暗くても大体道は分かる。
「どこ行くんだろう…。」
エアリスはつぶやいた。
クラウドの背中がひどく寂しそうに見える。足元に注意しながら上って行くと、クラウドは像の頂上に座り込み、足をぶらぶらさせながらウータイを見下ろしている。その姿がとても小さく、そして寂しそうにエアリスには見えた。
そぉっとエアリスはクラウドの後ろへ回った。
ふぅ、と、クラウドが小さくため息をついた。そんなクラウドに、思い切ってエアリスは後ろから声をかけた。
「どうしたの?クラウド。元気ないね。」
不意に声をかけられて、クラウドは驚いて振り向いた。
「エアリス……。」
「どうしたの?ひどく寂しそうじゃない。」
「ん……。」
クラウドは、こんな自分を見られたのが恥ずかしくて、うつむいてしまった。エアリスがクラウドの横に座る。
「どうしたの?なにか悩んでること、ある?私でよければ、聞いてあげるよ。」
しばらくして、うつむいたままクラウドが口を開く。
「俺……、」
そういって顔を上げ、エアリスを見る。クラウドの顔が、昼間とはうって変わって、まるで子供のようにエアリスには見えた。とても弱々しく、触っただけで壊れてしまいそうな感じの、顔。
「自分が怖いんだ……。」
寂しそうにつぶやく。
「俺、本当にクラウドなんだろうか……。」
「…どうしてそんなこと、思うの?」
できるだけ優しく、エアリスは聞いた。クラウドはまたうつむく。その姿が本当に幼く弱い子供に見える。
「5年前の事だって記憶はあやふやなんだ。もしかしたらなかったことかもしれない。ニブルヘイムも燃えていなかった。5年前のこともなかったようだった。」
「…だけど、クラウド見たんでしょ?5年前の燃えたニブルヘイム。」
「それだけじゃないんだ。他にも、子供のころのこととか、2・3年前のことでもよく覚えていない。どうしてミッドガルにいたかも分からないんだ。」
クラウドは今にも泣き出してしまいそうな顔だった。エアリスは知っていた。クラウドは、バレットやティファには見せない弱い一面を、自分にだけは見せていることを。
「セフィロスも、ニブルヘイムで俺におかしなことを言ったし、神羅ビルでジェノバのそばへ行ったときに、俺の中で何かが起こったようだった。ときどき頭の中でおかしな声もする。俺が俺でないような気がする。本当に俺、クラウドなんだろうか…。」
「…そんなに思い詰めること、ないよ。」
エアリスはそっと慰める。そしてウータイを眺めた。遠くから見ると、エアリスとクラウドがまるで姉と弟の様にも見える。
「だけど俺…、」
クラウドが震えている。子供のように、おびえた顔。
「俺、過去の記憶があんまりない。それに自分がだれかに−−セフィロスに呼ばれているような気がするんだよ。それに俺の知らない俺が反応しているような気もする。」
「…そんなことないよ。クラウドはクラウドだもん。だから、そんなに思い詰めないで…。」
クラウドの目に涙が浮かんでいる。自分を簡単に見失ってしまいそうなほど、弱々しく見える。
「俺…、本当に旅を始めるべきだったのだろうか…。」
「…大丈夫。私、クラウドのこと、見守っててあげる。クラウドがクラウドでいられるように。だから…、安心して。」
母親のように優しく言うエアリスに、クラウドは子供のようにしがみついて泣き出した。
「大丈夫だよ…、クラウド、全然おかしくない。どこも、おかしくない。」
言いながらエアリスは思った。クラウドは恐怖を感じている。自分が幼いころ、感じた恐怖よりも、もっと大きな恐怖。自分が自分でなくなってしまう、恐ろしさ。
自分の胸にしがみついて、泣きじゃくるクラウドを、エアリスは優しくなでてあげた。
「エアリス…、絶対、どこにも行かないでね…。俺をおいて行かないでね…。」
「大丈夫、私、クラウドのそばに、いつもいるから。だから、心配しないで、ね?」

「…ソルジャーってどうやってなるんだ?俺は…、知らない?」
「クラウド…、お願い、何も考えないで……。」
北の大空洞最深部。目の前で苦しんでいるクラウドに、ティファはそれしか言うことができなかった。
エアリスさえいてくれれば…。エアリスなら、クラウドの心をしっかりと支えてやれるのに…。
「俺は………俺は…………!!」
「クラウド、しっかりして……。」
自分は何もできないという無力感が、ティファを襲った。
すっとクラウドが立ち上がった。驚くほど、無表情。まるで、お面のように。
「悩むこともなかったな。なぜなら俺は……。」

END


どうでしたか?

最近ガスト×イファルナとかなかなかいいカップルだなーなんて思いはじめてます。


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