チープサイド先生の第4弾

投稿者 チープサイド 日時 1997 年 8 月 04 日 16:52:30:

書いちゃいました、エアリス復活。
長いです。(自分でも驚いた!)
第一部と第2部と第三部で感じが違うと思います。


第一部
 セフィロスが倒され、メテオが消滅して数日後、クラウドは一人でミッドガル・スラムの教会へと向かった。戦いは終わった。だが彼女は戻って来ない。そんな事を考えていると、ついついあの思いでの教会へと足を向けてしまうのだ。
ゆっくりとした足取りで、扉をくぐって中に入るとクラウドはため息をついた。ボディーガードを依頼されておきながら、エアリスを守り切ることができなかった自分をつくづく情けなく思う。
「!…エア…リス……!」
ふと花畑に目をやると、もういないはずの少女が花の世話をしていているのが目に入り、クラウドはあぜんとした。
「エアリス!」
喜びに満ちあふれ、顔中を輝かせながらクラウドは花畑へと走った。エアリスの方も立ち上がった。
「戻ってきたんだね!」
そう叫び、クラウドは花畑のすぐそばまで来たとたんに、エアリスは寂しげに笑ったように見え、次の瞬間には消えていた。
消えたエアリスを見て、クラウドは顔中に落胆の色を浮かべると、がっくりと倒れるように花畑に座り込んだ。
「エアリス……、戻って来てくれ………。」
花畑の花を一輪取ると、そうつぶやき、ため息をついた。

 教会でそんなことがあったあと、クラウドはみんなに黙って忘らるる都へ来ていた。もしかしたら……、という期待もあったのかもしれない。
エアリスの亡骸が眠る池の前で、クラウドはぼうぜんと立ちつくしていた。
水の祭壇で祈るエアリスに剣を振り下ろそうとしたことを思い出すと、たとえ自分を取り戻している今でも恐ろしくなってくる。
「…エアリス、君のおかげでメテオは消滅した。セフィロスを倒せた。俺は五年前の決着をつけられた。でも、そんなことよりも君にそばにいてほしい。俺は君がいなくなってから寂しくてしょうがないんだ。」
クラウドはだれとにもなくつぶやき、がくりとうつむいた。エアリスがいなくなってから始めて気が付いたのだ、エアリスを愛していたことに。
人は本当に大切なものは、なくなって始めて気が付くという。全くその通りだ、とクラウドは思う。エアリスがいたからこそ、旅を続けることができたのだ。いつの間にかエアリスを自分の心の大きな支えにしていることに、そしてエアリスに抱いている感情に、クラウドはエアリスがいなくなってからやっと気付いたのだ。

静かな池に小さな波紋が広がった。
それに気付き、池を見ると、静かにエアリスの体が浮かび上がってきた。
「エアリス!」
驚いて叫ぶと、クラウドは慌ててエアリスの体の所まで水をかき分けて進み、体をそっと抱き上げた。
しかし、やはりエアリスの体はあのときと同じまま、血の気はなく、笑顔も凍ったままだった。
「やっぱり、生き返るなんて事はないよな……。」
彼は、エアリスの顔を見て寂しげに笑った。
「でもやっぱり、」
クラウドは、エアリスの額にそっとキスをした。
「俺のそばに戻ってきてほしい。君と一緒にいたい。俺、君を……。」
クラウドの目から、一粒、涙が流れ、エアリスの頬に落ちた。
『なに、泣いてるの?』
「え…?」
不意に懐かしい声が聞こえてきた。
驚いてエアリスの顔を見ると、頬には血の気が戻り、目を開いてかすかに笑っている。
「エアリス!ほんとうに戻って来たのか!」
エアリスは、クラウドの腕から降り、自分の力で立ち上がった。ほどけた髪が、さらりと揺れる。
「うん。私も、またクラウドに会えるなんて、思ってなかった。」
「ゆ、夢じゃないよな?」
「夢なんかじゃ、ないよ。私、本当に戻って来た。」
「良かった…。ほんとうに……。」
そういうクラウドの目からは、涙があふれ出した。
「ああ、エアリス、俺、ずっと君に言いたかったことがあるんだ…。」
「なに?」
「俺、君のことが……。」
そういうと、クラウドは一瞬言葉に詰まってしまった。なに?とエアリスが顔をのぞく。
「君のことが大好きなんだ…。エアリス、君を愛している…。」
「うん、私も好きだよ…、クラウド……。」
そういうと、二人はお互いに引き付けられるようにして堅く抱きあい、そっと唇を合わせた……。

第二部
「へぇー、このチョコボ、海も渡れるんだ。」
黄金色のチョコボが、海もものともせずに走るのを見て、エアリスは驚いたように言った。
「ああ、海チョコボっていってね、川も山も砂漠もどこでも走れるんだ。」
「ふ〜ん、それじゃ行けないとこ、ないね。」
「ああ、そうだよ。」
「ね、クラウド、今からどこ行くの?」
「コスタ・デル・ソルにある俺の別荘だ。結構いいとこだぞ。」
うん、とうれしそうに笑ってエアリスはうなずいた。その笑顔を見て、クラウドはとても幸せな気持ちになった。彼はエアリスのその無邪気な笑顔がとても好きだった。始めてあったときから。
”こんなに明るい気持ちでチョコボに乗ったのは、久しぶりだな……。”
エアリスがいなくなった後は、明るい気持ちになったことなど、まずなかった。いつも寂しかった。だが、今は違う。エアリスがそばにいる。
ふとエアリスを振り返ってみると、心地よい風を全身に受け、気持ち良さそうに目をつぶっていた。長い髪が風になびき、それがまたとても美しい。
 クラウドたちの楽しそうな雰囲気のためか、心なしかチョコボの足取りも軽い。すぐにコスタ・デル・ソルの別荘についた。
相変わらず太陽がまぶしい。昼過ぎの、一番ゆったりとした時間だった。
「ここがクラウドの別荘?きれいな所だね。」
「ああ。俺も気に入っているんだ。」
そう言って中に入って行こうとするクラウドの腕を、エアリスはぐいと引っ張った。
「ねえ、お散歩、しない?」
エアリスはクラウドの腕に自分の腕をからめ、クラウドに寄りかかるようにしてゆっくりと歩きだした。二人はゆっくりと砂浜を歩きだした。

その夜は、話の種に困らないほどに、お互いいろいろ話したいことがあった。こんなに多くのことを語り合ったのは、生まれて初めてかも知れない、とクラウドは思った。
「ああそうだ、」
クラウドはポケットからリボンを取り出しながら言った。
「君のリボン、あのときほどけたのを取っておいたんだ。」
「あっ、とっといてくれたの!ありがとぅ!」
クラウドから受け取ったリボンで髪を結びながら、エアリスはまた話を始めた。
「クラウド、自分を取り戻せたみたいね。よかった。」
「分かっていたのか?」
「うん、大体は、ね。」
そこでエアリスはクスクスと笑った。
「でもザックスとおんなじ癖、まだあるよ。ちょっとそそっかしいとことか。」
「そうかなぁ。」
「そうだよ。」
それからもいろいろな話が出て、気が付いたときはもう真夜中だった。
「あーあ、もう眠くなっってきちゃった。ねえ、そろそろ寝ようよ。」
「そうだな。あっちの部屋に二つベッドがあるから。」
「うん、それじゃ、お休み。」

 クラウドがうとうとしだしたころ、どこかで物音がしたような気がした。起き上がって回りを見回しても、エアリスが静かな寝息を立てているだけで何もない。
ミシリ。
クラウドははっとした。隣の部屋にだれかいる。壁にかけてある剣を持つと、そっとドアを開けて隣の部屋に入った。
「!!」
隣の部屋にいる人物を見て、クラウドは驚愕した。そこにいるはずもない人物が立っていたのだ。
「セフィロス!!貴様、どうしてここに!!!」
思わず大声で叫び、剣を油断なく構え、その人物をにらみつけた。クラウドの声に驚いて起きて来たエアリスが、後ろで小さな叫び声を上げた。
「セフィロス、なぜ戻って来れたんだ!」
剣を構えたまま、クラウドは聞いた。
「オレも分からない。そこの娘と同じようにして戻って来たのは確かだが……。」
「そういえば……。」
後ろでエアリスがつぶやく。
「オレはお前達に謝りたくてここまで来たのだ。もちろん謝ってすまないことは承知だが…。」
がくりとひざをついて話すセフィロスの顔には、もう以前の冷たさがないのがクラウドには見て取れた。
「オレを斬ってくれ。もうオレはこの星にいる価値などないんだ。」
「当たり前だ!貴様はニブルの人達を、俺の母さんを殺した!ザックスが死んだのも、元はと言えばおまえが……。」
そう叫び、クラウドは今にもセフィロスに斬りかかろうとした。
「待って!!」
さっきまで黙っていたエアリスが、不意にクラウドの前に両手を広げて立ちはだかった。
「どいてくれ、エアリス!」
「待って、待ってよクラウド!!セフィロスを斬らないで!!」
そう叫びながら、エアリスはクラウドの剣を無理やりに降ろさせた。
「なぜだ、エアリス?」
「セフィロス、悪くないの!ジェノバのせいであんなことになったのよ!」
必死に訴えるエアリスを見て、クラウドはしぶしぶ剣を収めた。
「おまえはなぜオレをかばってくれるんだ?一度、おまえを殺したのに。」
セフィロスが、驚きを隠せない顔をしてエアリスにたずねた。
「昔、私と私の母さんが、サンプルとしてつか神羅につかまっていたとき、いつも私、母さんとは離されて、独りぼっちだった。そんなとき、あなたに会ったの、覚えてる?」
セフィロスはしばらく考えてから答えた。
「ああ、覚えているが…。」
「そのとき、いろいろお話ししてくれたりして、母さんがいなくて寂しかった私を元気ずけてくれたでしょ?私、とてもうれしかった。だから。」
「そんなこともあったな……。」
クラウドはその話を聞いて、複雑な気持ちになった。セフィロスは憎い。しかし幼い日のエアリスの支えになってやっていた。斬るべきなのか、助けるべきなのか分からなくなってきた。

しばらくの沈黙があった。
「…ねえ、セフィロス、お願いがあるんだけど。」
沈黙を最初に破ったのはエアリスだった。
「オレにできることならなでも言ってくれ。」
エアリスはセフィロスの方に向き直り、だれもが驚くようなことを言った。
「私の兄さんになってくれない?」
突然の言葉に、セフィロスもクラウドもびっくりしてエアリスを見た。
「なぜだ?オレはおまえの母親を殺した宝条の子供、そして生き返れたとは言え、おまえを一度殺したのだぞ。」
「もうそのこと、いいのよ。私、帰って来れたし、宝条のやったことはあなたがしたことじゃないし。それに私、兄さんがほしかったの。あなたなら、私と立場は同じ。種族としては、どっちも一人だもん。だから、分かってくれると思うの。だから、私の兄さんになって。」
それを聞いてセフィロスは顔を覆って、しばらくじっと考え込んでいた。そして顔を上げ、エアリスの顔を見ると、彼女の手をとり、感謝と喜びで一杯の表情をして言った。
「…ありがとう。オレは生まれて初めて、そんな優しい言葉をかけてもらった。喜んで兄になろう。ありがとう、本当にありがとう…。」
クラウドは、エアリスの手を握ったまま、うつむいて喜びのあまりに肩を震わせ泣いているセフィロスを、複雑な面持ちで見つめていた。

第三部
「あっ!クラウドいたよ!!」
数日後、あまりにクラウドの帰りが遅いので探しに来たらしく、ナナキの声がした。
「本当?!どこ?!」
あわててティファが駆け寄ってくる。その後ろにみんなもいる。クラウドは木陰に隠れたベンチの方に、ジュースを二つ持って行くところだった。
「クラウドー!!ここにいたのー!探したよー!!」
ティファが駆け寄ってくる。ティファたちに気付いたクラウドが、ギョッとした顔をしてティファたちを見ている。
「あれぇ?ジュース二つも持ってるじゃん、もう一つはだれのかなぁ?」
ユフィがクラウドが手に持っているものを見て、ニヤニヤ笑いながらながら聞いた。
「まさかここで新しい恋人つくったんじゃねーよな?」
バレットがひやかすように聞く。クラウドがあわてて答えようとすると、木陰にいた人物がすっと立ち上がった。
「みんな、お久しぶり。相変わらず元気そうね。」
こちらを振り向き、にっこりと笑った顔を見て、みんなとても驚いた。ふだんは表情があまり変化しないヴィンセントにも驚きがありありと見て取れるほどだった。
「も、もしかして…、エア…リス…?」
あぜんとした様子で、ティファが聞く。
「うん。私、戻って来れた。」
ナナキがエアリスに近付き、匂いをクンクン嗅いでみた。
「エアリスだ!」
うれしそうにしっぽを振りながら、ナナキはエアリスの肩に飛びついて顔をぺろぺろとなめる。おっとっと、とエアリスがよろける。
みんなもうれしさに顔を輝かせながら、エアリスのそばへよって話しかけた。エアリスもみんなに久しぶりにあえて、うれしそうだった。

「ねえ、私の兄さんいるんだけど、あってみる?」
一段落してから、エアリスが言った。
「えっ、エアリスに兄さんがいたの?」
ナナキが驚いてたずねる。
「うん、いこう。意外な人で、驚くかもしれないけど。」
そういって、エアリスは別荘の方へ入って行った。みんなも入って行き、最後にクラウドが入った。
「ねえ、兄さん。みんな来てくれたよー。兄さんも来てー。」
「ああ、分かった。すぐ行く。」
兄らしき人物の声を聞いて、バレットが不思議そうな顔をする。
「おい、俺たちあの声きいたことがなかったか?」
「そういえば……。」
みんなが不思議そうな顔をしているところに、ゆっくりとした足取りでその人物が来た。
笑って挨拶をしたその人物を見て、ユフィは叫び声を上げるとそのまま気絶して倒れ、ティファは青くなってふらふらと座り込む。ナナキは姿勢を低くしてうなり、ヴィンセントは目を見開いたまま何も言えなくなった。
シドはくわえていたタバコを靴の上に落としてしまうが、火が靴を焦がすのにも気付かない。バレットが大ぶりな動作で驚き、後ろにいたリーブを突き飛ばしてしまう。しりもちをついたリーブが顔を上げると、そのまま凍りついたように動けなくなった。
「セ…、セフィロス…!」
「そうだ。」
「ど、どういうことなんだよ、エアリス!」
「だからぁ、わたしの兄さん。もう、みんな、度胸ないなあ!」
「ほ、ほんとに兄妹なの?」
ナナキが驚いた顔をしてきく。
「うん。兄妹になった、って言った方がいいかな?今はもう兄妹だよ。」
そう言われてもまだ信じきれない、という表情でナナキはエアリスとセフィロスの顔を順に見る。
「そこまで驚かなくてもいいだろう。」
セフィロスが不服そうな顔をして言った。
「だ、だけどよ、最初はだれだって驚くぞ。」
興奮してバレットが言う。その横では、リーブとヴィンセントが必死にユフィとティファの介抱をしていた。
「ま、まあ、ねえちゃんの兄貴なら何の心配もいらねぇけどよ。」
シドが新しいタバコに火をつけながら言う。
「オレはもう大丈夫だ。エアリスのお陰でもう狂う心配もない。」
「そう、セフィロスはもう大丈夫。俺が保証するよ。」
セフィロスとクラウドの言葉に、やっとみんな落ち着くことができた。

 その夜は当然のように大宴会となった。コスタ・デル・ソルのパブを貸し切って、戦いの終わった後のパーティーもかねての、大騒ぎとなった。バレットの上機嫌な笑い声の響く中、少しはなれたところで、セフィロスは横にいるエアリスにそっと言った。
「おまえはいい友達に恵まれたな、」
振り向いたエアリスに彼は笑いかけた。
「私は、こんなに気さくな連中には会ったことがない。いつも冷たい人々に囲まれて育ったから、人間の暖かさなど忘れてしまっていたよ。オレは今、戻って来れて本当によかったと思うよ。」
と、酒をもったシドが、酔っぱらい真っ赤な顔をしてふらふら歩いて来た。
「おうセフィロス!おめぇも男ならぐーっといけぐーっと!」
焼酎をどぼどぼグラスに注ぎ、ほれっと差し出す。シドはかなり酔っているようだ。セフィロスは笑いながらグラスを受け取ると、ぐっと一気に飲み干した。
「いい飲みっぷりだな、気に入った!!こっちこい、もっと付き合え。」
シドはセフィロスを引っ張ってリーブとバレットのおやじ組の方へとひっぱて行った。酔った二人が手を挙げて迎える。机の上にはいろいろな酒とつまみがおいてある。
「エアリスー、一人でいないでこっちへおいでよー。」
少し酔ったナナキがそばへ来て、エアリスのスカートの裾をくわえて引く。ティファ・クラウド・ヴィンセント・ユフィの四人が待っていた。ユフィは無理して酒を飲んだせいで、酔い潰れ、ヴィンセントに寄りかかってもう寝てしまっていたが。
「さあ、エアリスとセフィロスが戻って来たことに、もう一度乾杯!!!」
酒が入って、いつもよりハイになったクラウドが立ち上がり叫ぶ。またワーッと歓声が上がり、ますます宴会は盛り上がって行った。


どうだった?
どんどんキャラの性格崩れていったね。
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