ぶち先生の第二弾

−−−あたしのきもち

やーもうびっじーんて感じの人だったよなあ。ヴィンセントがいっつもルクレツィアが、ルクレツィアがっていってるからどんな人かと思ってたけどさ。
うん。あれはすごいよ。あたしもウータイにいた時は大概かわいいってほめられてたけど、やっぱレベルが違うって言う感じだよね。

何しろびっくりしたのがさ。あのいっつも何考えてるんだかわかんないあいつがもう目をうるうるさせちゃって、「ルクレツィア・・・。」なんて切なそうな声だしちゃって、それでも「・・・」がつくとこがあいつらしくて笑えるけど、ふーん、一応人間らしい感情、あったんだって感じだよね。
いや別にヒジンドーな人間だって思ってたわけじゃないけどさ。力ない割に魔力はあるから、すぐケアルとかかけてくれるし、対ラプス戦の時なんか「もうだっめーーーー」って思った途端リミットブレイクしちゃって、あの普段のクールな顔との落差は何とかして欲しいって思ったけど、まあ助かったし。

でもなんか冷たそうな人だったよね。へー、こういう人が好みだったんだって感じ。まあ、何考えてるんだかわかんない感じがお似合いかも知れないけどさ。
「来ちゃ駄目。」なんて言われてあいつ、かわいそうだったよ。だって、ずっと好きだったって判ってんのにちょっとくらい優しくしてやったっていーじゃん。

とにかくあれからあいつ、ずっと落ち込んじゃっててさ。朝御飯の時だって泣きはらしたみたいな真っ赤な目をして出てくるんだもん。ま、元々目は赤いんじゃないかって突っ込みはなしにして、あたしまで悲しくなっちゃうよ。なんか慰めてやりたいなーって思ってもあたしじゃ何も言えないしさ。だって、あいつ、眠っていたから年とってないって言うけどあたしの親父より年上なんだもん。ティファに相談したって、彼女も自分とクラウドのことに夢中でちゃんと答えてくれないし。
誰もなんにも気がつかないのかなあ。あいつ、このところ、食事もろくにとってないんだよね。そりゃ元々存在感のない奴だったけどみんな、あんまりじゃん。

そんな状態でさ。いよいよ最終決戦に向かった訳よ。クラウドはみんなに故郷に帰ってこいっていったけどあたし、あいつのこと心配でウータイに帰る気もしなかったんだ。だってこのままどっかに行っちゃうんじゃないかとか、またあの洞窟に行って自殺しちゃうんじゃないかと思って。
笑わないでよ。
あいつの暗さ、考えたら、全然不思議じゃないよね。

うん。でもあいつ、洞窟には行かなかったんだ。さっすが元タークスっていうか隙がなくてさ、このあたしでも気づかれないように後つけるのが精一杯だったってとこ。気がついたらウータイに来てた。
ははは。なーんでウータイなんだって感じだよね。考えてみればあいつだってもう親兄弟生きてるわけないし、最後に観光でもしたかったのかねえ。ダチャオ様はちっちゃい頃から見てるあたしでもいいとこだと思うけど、もうちょっとましなとこに行けばいいのにね。
だけどね・・・。
ダチャオ様の頂上であいつに見つかっちゃった時。強い風が吹いてあの長い髪とマントがひらひらして、なんか昔見たアニメのヒーローみたいだったよ。妙に照れちゃってへへへって笑ったら、あいつもにっこり笑って、そんな顔見たの、初めてだったんだけど、この人が生きてるこの世界っていいなあって思ったんだ。


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