あゆりん先生の第3弾

最近、裏っぽくない小説もあって充実ですね!
オールジャンルOKって感じかな?
さかねさんの所でも一回書かせて頂いたんですが・・エアリスの話題出たのでかきたくなっちゃった・・・文章書きではないのに・・・馬鹿・・・しく。
すっごい長いけど、暫く書き込みパスしますんで、許して下さい、会長、皆さん(泣)!
・・・マウスで右半分筋なんか違える阿呆って私くらいよね・・・しくしく・・・痛い・・・。



「良い子だ、クラウド。」
銀の髪の悪魔・・・セフィロスはそう言って笑った。
クラウドには自分が何をしているのか分からなかった。ただ身体が、頭が彼に従おうとする。
それをまた必死で止めようとする無意識下の何かが悲鳴を上げている。
「クラウド、駄目!黒マテリアをセフィロスに渡さないで!」
必死に止めるエアリスの声が遠い。
「セフィ・・ロ・・ス・・」
歯を食いしばるが効果はない。
何かに導かれるようにクラウドの身体はセフィロスの腕の中に崩れ落ちた。身体を支えて反射的に伸ばされたしなやかな腕が空をさ迷うのをたやすく掴み取り、セフィロスの大きな白い手が更にクラウドの細身の体を抱き取って行く。
触れられた個所から、クラウドは自然に力が抜けていくのを覚えた。
表層意識に隠れた部分で安堵が広がる。
(やっと・・・遂行した・・・)
「遂行・・・何・・を?」
白濁する意識から何かを手繰り寄せようとクラウドは自問する。
だが、答えは出なかった。
目の前に迫る魔性の緑を湛えた宝石が思考の全てを絡めとっていく。
古代種の神殿が失われた深いクレーターへ、地上から吹き込む風がクラウドの髪を存分に乱す。
「何を迷う?クラウド・・・お前は俺の為に存在するもの。そうだろう?」
捕まれた手首が冷たい。目の前の男の視線が見えない糸で自分の体をがらんじ絡めにしてゆく。
クラウドは、天を仰いで目を閉じた。
その、セフィロスと同じ光を宿した蒼い目から、透明な雫が零れて、水晶の欠片のように弾けて、散った。
捕らえた獲物を検索するように笑みを浮かべたまま、セフィロスはクラウドの手に握られている黒く輝く球体に手を伸ばす。
精神の奥の何かが身を捩って叫ぶ。焦点の合わない目からは止めど無く涙が流れ続けてクラウドの頬から喉を濡らしていく。
そんな彼を見て、セフィロスは微かに端正な眉を顰めた。
「・・・・まだ、逆らう自我が残っているか。・・強情な・・・!」
微かに怒りの篭もった目でクラウドから視線を外さぬまま、もぎ取るように乱雑に黒マテリアを奪い取る。
セフィロスに苛立ちが生まれていた。何に対してかははっきりしないが不快だった。完全に屈していない腕の中の存在に、やるせない怒りと哀しみがある。
(何故・・・・?)
奪った黒マテリアを握り締めた瞬間、
「クラウドは、貴方の思い通りになんかさせてあげない!」
背後から、緊迫したエアリスの怒りの声が聞こえた。振り替えると、怒りに紅潮した頬と、噛み締めて紅くなった唇が震えている。
「・・・セトラの民の生き残りか。お前に何が出来る?戦う力もろくに持たぬ癖に。」
彼女のロッドをつかんだ手が、力で白くなる。それを見つめるセフィロスの耳に、震える彼女の声が低く、届いた。
「・・多分、私は貴方を止められない・・それでも、私にだけ、出来ることがあるもの。私、この世界が好き。貴方がそれを使って世界を殺そうというのなら、私は全力で世界を守る。このまま貴方の好きになんて、させてあげない!セフィロス!」
凛と響く声に意志の力を感じて、セフィロスは静かに掴んでいたクラウドの腕を放した。
そのまま崩れ落ちるクラウドを見つめて、エアリスに視線を移す。
「・・・これが何なのか、お前なら判っているのだろう?セトラ。」
これは、前兆。自分と同じく、世界を狂わす存在の為に造られたもの。
「・・多分、判ってると思うわ。彼を守った人の事。彼自身の事も。だから貴方達を許せない。宝条を、許せない!彼を・・・そしてクラウドを返して!これ以上、この子を傷つけないで!」
睨みながら訴えるエアリスに、彼は自分が羨望しているのを感じた。
彼のどこかで切なさが渦巻き、飲み込んでいく・・・それでも。
「俺だって、少しは夢を見る。だが、運命は変えられない・・・それが現実だ。」
目を閉じて意識を宙に飛ばす。
風が起こり、セフィロスの身体がそのまま舞い上がり、消えた。
「・・それを救えると思うなら、やってみるがいい、セトラ。お前の知った、只一つの方法・・その力でな」
いっそ、優しくも聞こえる哀しい声音に、エアリスもまた、目を閉じた。
「・・・・やってみせるわ。信じてるもの。・・・この星の深い愛情を・・・皆の心の中にある、純粋な優しい心を・・・・」
風に含まれたセフィロスの気配が優しく彼女を包み、散って消える。
「大切なの。この子が・・・守りたいの。これ以上苦しまないように。この気持ちは消せないもの。・・・だから、恐くない・・・」
隠し持っていた母の形見をそっと握り締める。
足元に横たわるクラウドの金の髪が、風に嬲られて、揺れた。
「・・・貴方も、本当は大切なのね、クラウドが・・・」
目に熱いものが溢れ出す。
「貴方も・・・黒い力に捕まっているだけなのね・・セフィロス・・・」
手の中の白マテリアが清廉な輝きを微かに帯びた。
「貴方も・・・・この仕組まれた悲劇の、被害者に過ぎないんだわ・・・」
風が震えた。エアリスは祈りを捧げるように、マテリアを抱きしめた。


「う・・・・」
動き出す気配を感じて、エアリスははっと我に返った。さっきまで自失していたクラウドの目には光が戻っている。
首を振って意識を覚醒させようとしているクラウドを見つめたまま、エアリスは動けなかった。
掛ける言葉が見つからない。何を話せば良いのか判らない。何を言ってもクラウドを壊してしまいそうで、動けなかった。
そんなエアリスを見つけ、クラウドの動きが止まる。その眼に浮かんだ探るような光と、いぶかし気な表情が、だんだんと驚愕と絶望のそれに変わっていく。
エアリスは笑わなかった。いつものように笑ってあげられたらいいと重いながら、唇を動かそうとしただけで出来なかった。ふらつきながら起き上がり、近づいてくるクラウドから視線を外せないまま後ずさる。
「・・・見ていたんだろ、エアリス。俺は・・・俺は一体何をした?」
空の両手を差し伸べて、すがるような顔で近づいてくる。
「何を・・・したんだ・・・・答えろ、エアリス!」
掴みかかる彼の両腕に首を締め付けられながら、エアリスは必死に首を振った。
違うよと、言ってあげたかった。
だけど、声を出せばまた泣いてしまう。
それこそ彼を苦しめる・・・全てを肯定する事になるのだから。
彼がセフィロスに黒マテリアを渡したこと。
世界を破壊する為の鍵を、破壊者に渡してしまった、その事実。
混乱したクラウドの手が力任せに彼女を殴った。
「答えろよ、エアリス・・・!俺が・・俺がやったんだろ、俺が!」
泣き笑いのクラウドに殴られ続けながら、エアリスは首を振り続けた。
(クラウドの気持ち・・・痛い程判るよ・・・だから・・言えない・・)
彼の中に隠れる複数の自我。
幼い頃のコンプレックスに蹲る小さな、魂。
彼を守り続けた、植え付けられた記憶を操る守護者としての表層の自我。
・・・破壊され、傷つき続けた、最奥に眠る、本当の・・・クラウド・・・。
仲間達がようやくクレーターの下に辿り着き、驚いてクラウドを押え込む。狂ったように抗い暴れるクラウドを、支えられながらエアリスは見ていた。
「・・・・クラウドは悪くないよ・・・?」
届かない声で、そっと言う。
「だから・・もう・・・・傷付かないで・・・」
やがて力尽きたクラウドが、追いついたヴィンセントの腕に墜ちて眠っている。
小さな子供のような、無垢な青年。
「エアリス、大丈夫?」
ティファが心配そうにエアリスの肩を抱いて宥めてくれた。
ヴィンセントに抱かれたクラウドが遠ざかっていく。
エアリスはそれでもまだ動かなかった。
仲間を眼で追い、戸惑いながらもエアリスをきゅっと抱きしめてティファも走って行く。

誰もいなくなった場所で、彼女はやっと、口を開いた。
「御免ね、クラウド・・・。私、もう、貴方の側で護ってあげられないね・・・。ずっと、見ていてあげたかったけど、もう時間がないの・・怒んないでね・・。」
仲間の消えた方角と逆に踵を返して歩き出す。
(恐くないよ・・・お母さんと一緒だもん。身体が消えても、星と一緒に貴方を見てる・・・だから・・・負けないで。)
振り切るように空を見た。
澄み切った蒼は遠く美しかった。
「護ろうね、クラウド。ずっと一緒に、この星を、護っていこう。」
微笑みが、大気に透けるように綺麗だった。
「だあい好き・・・・だから・・・・」
生きていて。
そして彼女は、最後の涙を一筋、落とした。

いつまでも負ってこないエアリスを探して仲間達がその場所に駆け戻ってきた時、既に彼女の姿は何処にもなかった。そして探し続ける彼らの前に、エアリスはもう、自ら姿を現すことはなかった・・・。

そして、真に星を巡る最後の戦いが、ここから始まる・・・・・。



ううっ。一体どれくらいの書込みしたんだろう・・・しょうもなくても仲間はずれにしないでね(泣)
筋肉痛(?)直ったらまた来ます。その時お願い!
冷たくしちゃ・・・いやん(撲殺!)


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