安藤の小説リユニオン第1弾

・・・・セフィロスが生きていた

クラウドは何度めかの寝返りをうった。
何処かで虫の鳴く声がする。
どんよりと重く濁った闇のせいではなく、再び気だるくベッドの上で向きを変える。

ミッドガル・・・悪趣味な人工都市。
神羅カンパニー最上部で見たあの光景・・・。
かつて世界にまたがる巨大組織を掌中におさめ、文字通り世界を手にした男であったモノから生えた一振の剣。
スラリとしたその刀身が、クラウドの脳裏でゆらりと揺れ、冷たく冴えるプラチナブロンドへと姿を変えた。

セフィロス・・・

アイスブルーの瞳
白皙の美貌
黒ずくめのいでたち
主をそのまま映したかのような長剣・・

べっとりと血糊のついた・・
血・・・

恐怖と苦痛の叫び

「あ・・・」
薄く光を帯びた目からシーツに零れ落ちる。
「涙・・?」
俺は一体何泣いているんだ?
最後に泣いたのは、きっと忘れるほど遠い昔。
5年前のあの時にも、恐らく泣いてはいないと思う。

悲しみ・・・?
苦痛・・?

違う。

「そんな・・ばかな・・」

(セフィロスが生きていた)
のろのろと体を起こす。
(セフィロスは生きている)
震える手を自分自身を抱く形に・・
(セフィロスは・・セフィロスは・・)
「違・・・ぅ・・」

セフィロスが生きていた セフィロスが生きていた
セフィロスが生きていた セフィロスが生きていた
セフィロスは生きている セフィロスは生きている
セフィロスは生きている セフィロスは生きている
セフィロスは・・・

歓喜。

「そんな・・っ」
全身の細胞が泡立つかのようなその感覚に目眩がする。
突然堰を切ったように自分の内側から溢れ出る、悲鳴にも似た感情の波が、押さえようのない勢いで頭の中に木霊した。
セフィロスが生きていた セフィロスが生きていた
セフィロスが生きていた セフィロスが生きていた
セフィロスは生きている セフィロスは生きている
セフィロスは生きている セフィロスは生きている
セフィロスは・・・

虫の声が止んだ。

身体の中で聞こえていた声もピタリと止んだ。
静寂につつまれた部屋の中、己の鼓動だけがいやに大きく聞こえてくる。
背後にわきあがる、人ならぬ者の気配。
クラウドはゆっくりと、振り返った。
声がかすれて・・・

「セフィ・・ロス・・・」

何も無かったはずの空間に当然の様に立っていた。 鈍く光る銀の髪。

 つづく・・・


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