あぐり先生の第2弾

投稿者 あぐり 日時 1997 年 8 月 20 日 01:41:42:

 さあさあいよいよ始まりますよ。ダメだと思ったら、途中ででも引き返して下さいよ。お ね が い。



 香り高いこはく色の液体が注がれると、ヴィンセントは、指先でグラスをシドの方に押しやった。シドはそれを受け取ったが、何とも落ち着かない想いだった。
 いったい何を考えているのか・・・さっぱり見当がつかない・・・それでも、自分がいくらわめいたところで、どうせこのきれいな顔の眉ひとつ動かすことはできないのだろう・・・ちょうど古沼に何を投げ入れても、音ひとつさざ波ひとつたてることはできないのと同じで・・・。
「飲まないのか」
 ヴィンセントにうながされ、シドはあわててグラスを干した。もう一杯。こんな時は飲んで寝てしまうに限るのだ・・・。
 やがて、ヴィンセントはため息をついた。
「シド」
「あ、あ」
 シドは、あわててヴィンセントをさえぎった。
「いや、あの・・・あ、明日はいい天気になるかナ」
「・・・」
 ヴィンセントの眉がわずかにくもる。
「・・・はぐらかすのか」
「あ、いや」
「・・・あのひともそうだった」
「え?」
「あのひとも、私が大事な話をしようとすると、決まって話をそらそうとしたものだ・・・永い眠りの後で、またしても同じ苦しみにさいなまれようとは」
「ヴィ、ヴィンセント」
 シドはグラスを空になった置いた。もう酔いがまわったのか?なぜだか、ヴィンセントの端正な顔が、今もロケット村でシドを待っているだろうシエラの白い顔と重なって見えた。
「シド、率直に言おう」
 率直に、と言うわりに、ヴィンセントの顔はためらうような色を見せた。
「私は、あんたを愛してしまったらしい」



とりあえずここまで書き込みます。つづきはすぐ後に・・・


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