マリーのアトリエ 〜ザールブルグの錬金術士〜
 
プレイステーション用ゲーム
発売元:ガスト
発売年月日:1997年5月23日
標準小売価格:\5,800
ジャンル:ロールプレイングゲーム

ストーリー等は、此方へどうぞ。

・錬金術の楽しみ
  従来のRPGとは異なり「魔術」ではなく「錬金術」に焦点を定めたゲームだ。プレイヤーは、アカデミー(錬金術師を育てる学校)創設以来の最低成績を誇る(笑)「マルローネ(以下マリー)」となる。目標は「マリーの為に、特別に設けられた卒業試験に合格する」事。試験内容は「アカデミーより貸し出された、職人通りにある錬金術工房と3,000枚の銀貨を元手とし、マリーにしか出来ない事を成し遂げる」。かなり抽象的な書き方をしてしまったが、このゲームには、特に定められた目的が存在しない(強いて挙げるとすれば、卒業試験の合格か)。故に、自由度の高いゲームとなっている。始めの方で「目的」ではなく「目標」と書いたのも、この自由度の高さから。
  自由度の高さ故、ゲームの進行はプレイヤーに委ねられている。始めから「何を作れ」「何処かへ行け」等の指示がない為、やや不親切な印象を受けるかもしれない。しかし、俺はこの様に思う。「今日日のRPGは、親切と言うよりもお節介ではないか。其れも、過剰と言える程の」と。このゲームでは「説明書を読めば、おおよそのゲームの進め方は判る」様になっている。色々と試して、ゲームの雰囲気を掴むのが一番だ。
 
  アイテムを作成する為には、材料が必要だ(作り方や、作る為にあると便利な機材も必要だが)。材料は、アカデミーの売店でも売られているが、種類が限られている。材料の大半は、街の外で見つけなければいけない。しかし、街の外は盗賊や魔物が犇めいている。遠出をする時は、護衛として冒険者を雇う必要がある。当然、実力に応じて雇用費は高くなる。中には、冒険者を生業としていない、或いは冒険者とは縁遠い人達も雇う事が出来る(マリーの親友であるシア、ゲーム開始時点でのアカデミー首席であり、「眼鏡」「嫌味男」の異名を持つ(笑)クライス、王国親衛隊長であるエンデルクの3人)。彼らの手助け無しでは、近くの森の散策が精一杯である。マリー本人の力が付いたゲーム中盤から後半でも、彼らの手助けはあった方が良いだろう。FAQの方でも触れているが、シアはレベル25に達すると、異様に強くなる。病弱な娘さんが、これ程までに強くなろうとは(笑)。そこまで持っていくのが大変かもしれないが、一度は挑戦して欲しい。
 
  雇うと言えば、マリーのアイテム作成を助けてくれる妖精達も、忘れてはいけない存在だ。彼らは、定められた賃金を払う(本当は、月の始めに自動的に引き落とされるのだが)事によって、「マリーが訪れた事のある場所へ、代わりにアイテム採取に行く」「マリーが作った事のあるアイテムを、代わりに作成する」事を頼める。大量に必要な材料の採取、及びアイテムの作成を彼らに頼めば、マリーは本命アイテムの研究に力を注ぐ事が出来る。実に頼れる存在だ。
 
  このゲームの難点として「普通にプレイしていると、自分で何らかの目標を設定していない限り、後半が暇になってしまう」事と「自分で、未知のアイテムを作る事が出来ない」事か。前者は、イベントが序盤から中盤に集中している為に起こる現象。もっとも、イベントを上手くコントロールすれば、後半も暇ではなくなるのだが。後者は「本来、錬金術というものは、型にはまらない学問ではないのか」という疑問から出た。まぁ、これ以上自由度を高くしてしまうと、ゲームとして成立しなくなる可能性があるので、其れは其れで良かったのかも知れない。
 
 このゲームは「毛色の変わったゲームをプレイしてみたい」と言う人には、是非ともプレイして貰いたい。他の需要としては、キャラクターデザインを担当した「桜瀬虎姫(おうせ こひめ)」のファンと、声優マニアか(笑)。