実在アトラクター日記Special

アトラクター旅日記'99


6日目(8月27日 金曜日)


終点に着く直前ではなく、少し手前の岩見沢の辺りで目が覚めた。外は霧にけむっているが、札幌に近づくにつれ、徐々に霧は晴れ、青空が見えるようになった。


今日も夜行バスに乗るまでは自由時間のため、札幌からそれほど遠くない所にある余市へ行くことにした。
駅構内で軽く食事をしてからJR自慢の[振り子列車]、特急《スーパー北斗2号》に乗り込み、長万部へと向かう。
(本当なら小樽経由のほうがずっと近いのだが理由は後で)

スーパー北斗

長万部で《スーパー北斗2号》を降りると、ホームには名物駅弁【かにめし】を売る売り子の人が何人もいる。こういう光景を見ると横川の【峠の釜飯】を思い出すなぁ。しかし、こうやって駅弁を売るのは全国でも非常に少なくなってしまったのだそうだ。


跨線橋を渡って隣のホームへ行くと、待っていたのはここでも1両だけのワンマン車。乗り換え時間が結構短くて発車時刻ギリギリだったが、車内は空席の方が多いので、靴を脱いで向かい側の席へ足を伸ばす。
かつては函館と札幌を結ぶ主要な路線だった〔函館本線〕も、今は勾配がきついので函館から札幌へ行く列車は全て苫小牧を経由するようになってしまい、長万部〜小樽間は1日に数える程しか列車が走らなくなってしまったらしい。

長万部を出て2時間、それまで空いていた車内もニセコ駅辺りから急に乗降客が多くなって、足を伸ばしている余裕がなくなった。そしてしばらく進むと、ニセコアンヌプリ山と羊蹄山が窓の外に見えてきた。何てことはない、遠回りして来たのは、ただこの2つの山が見たかっただけなのであった。
(小樽経由だと折り返しの接続が悪くてこの後のスケジュールに影響が出てしまう)

夏の羊蹄山
夏の羊蹄山
ニセコアンヌプリは撮影に失敗…


今日の目的地、余市で下車。

余市駅 余市駅

改札を出るとすぐ正面にニッカウヰスキーの余市ディスティラリー(醸造所)が見える。
しかし工場見学ツアーはお昼休みで、次の案内が始まるまでは1時間以上あるので、その前に隣りの宇宙記念館『スペース童夢』へ行くことにした。余市は日本人初のスペースシャトル搭乗員の毛利衛さんが生まれた街で、それを記念して建てられたものだそうだ。
入場券(1200円)を買って、いざ中へ。

余市宇宙記念館 スペース童夢

宇宙記念館 国際宇宙ステーションの模型

月の重力(地球の1/6)や火星の重力(地球の1/3)を体験できるコーナーがあったのだが…

船外活動を体験 月/火星の重力を体験

おねがい

だそうで、見事に制限に引っかかった。
う〜ん、いつもドリフトキングに乗れずに涙を飲んでいる子供たちの気持ちがちょっとだけ解ったかも(苦笑)。

4分の3スケール ハッブル宇宙望遠鏡 毛利さんの作業服


おみやげを買ったり、インターネットコーナーなどをウロウロしていたらちょうど時間もよくなったので、ニッカ工場へ向かう。

ニッカウヰスキー 余市ディスティラリー

待合室に行くと既に30人程集まっていた。どうやら団体旅行のコースに含まれているらしく、私のような個人の旅行客はほとんどいない。
しばらくするとスコットランド調の制服を着た係のおねえさんがやって来て、壁のパネルを使って簡単な説明をした後に工場内へ出発した。

ニッカウヰスキー 余市ディスティラリー

毎年8月は工場設備の点検をしているそうで、機械が稼働していないせいか意外と静か。
もっとも、元々静かな街なので、動いていたとしてもそれほど騒がしくは感じないだろう。

ニッカウヰスキー 余市ディスティラリー リタハウス(左)と旧事務所(右・余市町指定文化財)

ポットスチル
石炭を燃やしてウィスキーを蒸留する[ポットスチル]
創業時から使われているものもあるらしい

ニッカウヰスキー 余市ディスティラリー ニッカウヰスキー 余市ディスティラリー

最後に案内されたゲストハウスではウイスキーとワインが飲み放題とあって、みんな我先にとグラスを持ってテーブルで酒盛りが始まった。
以前行ったサッポロビールの工場見学では最初の1杯だけが無料だったのに、何とも気前のいい会社だ。
私は水割りを1杯だけ頂いてすぐに外へ出て、工場の入口に向かう途中にある「原酒販売」コーナーへ向かった。

ウイスキーは仕込んだ樽ごとに風味が違い、これをそのまま瓶に詰めて売ったのでは同じ銘柄でも瓶によって味がまちまちになってしまうので、『商品』にはできないという。なので、普通売られているウイスキーはいくつかの醸造所で仕込まれた樽同士をブレンドしている(「シングルモルト」と呼ばれるものは、同じ醸造所の樽同士でブレンドする)のだが、ここではブレンドする前の原酒(「シングルカスク」)を樽から直接瓶詰めして売っている。熟成前・5年・10年・15年のものがあり、値段もだんだん上がって行くのだが、思い切って15年物の小瓶(¥3500-)を1つ買うことにした。

「大事に飲みなよ」、と売場に立っていたおじさんに声をかけられた。
それもそのはず、そのおじさんはつい先日までこの工場で実際にウイスキーを仕込んでいた方で、定年で退職された現在も会社から依頼されてアルバイトで売り子をやっているそうだ。そして、現役で働いていた時に自分で仕込んだ樽が倉の中にはまだまだ山のようにあるとのこと。自分が手がけた、自分の子供のようなウイスキーを自分で売っているのだから、そう言いたくなるのも無理はない。


駅に戻ると、駅舎の2階でスキージャンプの歴代オリンピック選手が使っていた板やウェアを展示しているのを見つけた。
余市は長野オリンピックなどで活躍した船木選手の出身地でもあるそうだ。

展示室 船木選手のスキー

程無くして来たワンマン車両に乗り込んで、小樽へと向かった。


小樽でおみやげを買おうと思って駅前からバスに乗り、運河沿いの北一硝子へ周辺へ行くと、人、人、人の群れ。
前回来た時はまだシーズン前で割と静かだったが、さすがに夏休み中だとこんなもんか。

結局、何もしないで小樽を後にして、札幌へ向かう。
小樽築港の駅前には、3年前には影も形もなかった(計画だけはあった)【マイカル小樽】が。地元では建設反対の声も上がっていたようだったけれど、市街地の商店街はそれほど活気を失っているようには見えなかった。
『石原プロワールド』などにも行ってみたかったけれど、時間の都合でパス。次に札幌まで来ることがあれば行くとしよう。


簡単に夕食を済ませて、余った着替えなどの重い荷物を一足先に自宅へ送り返した後は、夜行バスが出るまで時間潰し。
ここでもナムコの直営店に行って給料を還元してしまうあたりが何とも…(苦笑)

発車時刻が近づいて来たので大通公園の東端にあるバスセンターへ行き、23時50分発の函館行き夜行バス《オーロラ号》に乗り込む。

大通バスセンター

快速《ミッドナイト》に乗れさえすれば余計な出費はしなくて済んだのに…などと言っても始まらない。
明日からはまた特急に乗れなくなるんだから、しっかり寝ておかないと。

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