ソンディ・テストの自殺指標

ソンディ・テストの自殺指標から自殺のサインや自殺に至る要因を考えてみました。(浜野聡)

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自殺の公式(自殺=自殺の準備状態+きっかけ)というものがありますが、ここでは、ソンディ・テストの自殺症候群(p-,d-,m-,k-,s-,hy-)から自殺に至る要因(自殺の必要条件)と、どのような対策を取ればいいのかについて考えてみました。ソンディ・テストの場合、例えば記号p-への対策はその逆の理論的な補償像であるp+となります。ソンディ・テストは自殺指標を持つ数少ない心理テストの一つです。

・自殺に至る要因(自殺の必要条件)

[p-][現在]
(1)生きがいがない。生きる意味が見つからない。居場所がない。
(対応方法)→[p+]居場所の確保。熱中できることの発見。

[d-][未来]
(2)将来への明るい見通しがない。現状が続きそう。この先事態が改善するとは思えない。
(対応方法)→[d+]具体的改善策の提言。将来やりたいことを探す。

[m-][過去]
(3)誰からも愛されていない。必要とされていない。誰も助けてくれない。
(対応方法)→[m+]じっくりと話を聞く。批判をせず受容と共感に徹する。(この人は自分に本気で関わってくれようとしていると感じてもらうことが必要)

[k-]
(4)自分なりの独特の生き方、考え方が理解されない。誰も分かってくれない。私の生き方なんか意味がないと自己否定的。
(対応方法)→[k+]その人なりの独特の価値観を批判することなく受容、承認する。(この人なら自分[自分の価値・価値観]を分かってくれると感じてもらうことが必要)

[s-]
(5)攻撃性が自分自身に向かっている。
(対応方法)→[s+]じっくりと思いを語らせる。(周囲への批判も引き出したい)

[hy-]
(6)非現実的な空想。死んで楽になりたい。
(対応方法)→[hy+]自分の感情・気持ちを十分に語ってもらう。

(1)〜(6)まで全て重要なのですが、自殺を防ぐためには特に(1)〜(3)の3要因のうち、最も変化させやすい要因に関わることが有効と考えます。この内一つでも変化させることができれば、自殺の可能性を減らすことにつながるからです。教育相談的には、(1)[現在]、(2)[未来]を中心に関わっていく方がいいと思います。(4),(5)になると、カウンセラー側にもある程度の器の大きさやテクニックが求められてきます。また、稲村博先生の「心の絆療法」は(3)を中心とした方法と言えそうです。